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» 2005年07月14日 01時08分 公開

OSSプロジェクトの後援者捜しを支援するFundable.org

多くのOSSプロジェクトにとって、資金はあるに越したことはない。しかし、資金を得るための手段を持たないことが多いのが現実だ。そこに目をつけたのがFundable.orgだ。

[Tina-Gasperson,japan.linux.com]

 Fundable.orgは、資金を必要とする人々と積極的に寄付する人々を結び付ける新手のサービスだ。共同創設者のジョン・プラット(John Pratt)氏は、どこからそんなアイデアが出たか知らないと言うが、彼と相棒ルイ・ヘルム(Louis Helm)氏は2005年1月にインスピレーションを受けて以来、昼夜を問わずそれに取り組んできた。

 その考え方はユニークだが、極めて単純だ。売るべき製品またはサービスを持つ人がいるとしよう。あるいは慈善運動への金銭的支援を求める人や、共同購入を組織したいと考えている人でもよい。そうした人々がFundable.orgに彼らの条件を提出する。彼らは必要な寄付者の人数と1人当たりの金額を指定する。また、必要な資金をいつまでに集めるか、その最終期限も指定する。Fundable.orgは、必要な資金が集まるか最終期限に達するまで寄付を一時的に預かる。もし、最終期限までに寄付された金額が必要金額に満たなかった場合は、プロジェクトを解体し、すべての寄付を返却する。

 既にFundable.orgは、あるOSS開発業者でその真価を発揮して見せた。Frederico Caldeira Knabben氏は、ブラウザベースのサーバ設置型htmlエディタFCKeditorの開発で2年の実績を持つ。FCKeditorは一般に広く受け入れられており、Internet Explorer、Firefox、Mozilla、Netscapeで動作する。しかし、以前からSafariへの移植を要望する声が強かった。「この2年間、そうした要望をずっと聞かされてきた」とKnabben氏は言う。「しかし、Safariにはオンライン・エディタの構築に必須の編集機構が備わっていなかった」

 Knabben氏としては人気が高まる一方のFCKeditorの開発を続けるべく、その時まで独力で寄付を募っていた。「プログラム作りを仕事にしているので、フィードバックを受ける方法を見つける必要があった。無論、金銭的なフィードバックだが、できるだけ多くの時間をプロジェクトに投じるにはそうする必要があった」とKnabben氏は言う。彼の解決策は、金銭的に支援してくれる人だけが電子メールによるサポートを受けられる方法をお膳立てすることだった。毎日ユーザーから寄せられる質問の量が彼の手に負えなくなりつつあることを考えると、これはある意味で必然的な解決策であった。

 そうこうするうちにSafari 2.0がリリースされ、その編集機能が拡張されたことを知ると、Knabben氏はFCKeditorを移植する機が熟したと考えた。Macでの開発経験がまったくなかったし、自分のMacを持ってすらいなかったので、移植作業が相当な挑戦になることは必定だった。Knabben氏はMacMiniの購入も検討したが、そのころFCKeditorへの寄付は減っていた。「まあいい、コミュニティに呼びかけて、『あなたがたのためになるのだから移植作業を支援してくれないか』と頼んでみよう。でもどうやる? 取り敢えずGoogleで調べてみるか」

 Knabben氏が資金集めに苦労しているちょうどそのとき、MailChimp.comのBen Chestnutが連絡してきた。彼のためにMacMiniの購入を申し出たのである。だが、その時点で、Knabben氏はiBookが必要と考えていた。MacMiniよりずっと強力で値の張るコンピュータだ。Knabben氏は、Googleで寄付者を捜しているときFundable.orgを見つけた旨をChestnutに伝えた。Chestnutは、Fundable.orgがひとつの解決策になるかもしれないとの考えに賛成し、もしKnabben氏がFundable.orgで残りの600ドルを集めることができたら700ドル提供しようと言ってくれた。

 そこでKnabben氏はFundable.orgへの要請書を用意し、総数6人で各100ドルの寄付を要求したのである。「600ドル集めるのに2日しかかからなかった。彼は世界中から寄付を受け取った。後は、KnabbenがSafariへの移植版を出すだけだ」とプラット氏は言う。Knabben氏はiBookを購入した。開発の「段取りはできた」というわけだ。

 移植作業は現在進行中だが、Knabben氏によれば、その進み方はのろいと言う。それはSafariに「バグがかなりあり、Safariの開発者たちはバグの報告を受ける一方で、バグを修正することにも関心を向けている」からだそうである。

 Fundable.orgとしては、寄付者全員を満足させることをこのプロジェクトの発起人に任せている。「当然そうすると思っていたことを、その通りしてもらうことは現実にはなかなかできないものだ。われわれはフィードバック・システムで動いているわけだが、差し当たりeBay profile and ratingsへのリンクを公開してもらって、一定程度の信頼性を確保している」とプラット氏は言う。

 「ここ最近のソフトウェア・プロジェクトに関して言えば、既にある程度の信頼はあると思う。開発者たちは既に自分の時間を投入し、フリーソフトウェアを提供してくれているので、最初からほかの人たちよりも信頼感がある」

 Fundable.orgは、1000ドルを超える取引について4パーセントの手数料を取る。プラット氏によれば、今後の計画として他の料金体系も考えているという。「我々は毎日ぶっ通しで働いている。これはフルタイムの仕事だ」と彼は言う。無論、プラット氏とヘルム氏はそうしようと思えばいつでもFundable.orgに資金要請書を出すことができる。

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