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» 2005年07月29日 21時48分 公開

丸井もレガシーマイグレーションで苦労しました

百貨店業界トップの丸井では、基幹システムをメインフレームからオープン系システムに移行した。その過程で突き当たった課題とは……。

[大津心,@IT]

 ガートナー ジャパンは7月29日、有料セミナー「経営情報活用セミナー」を開催。ゲスト基調講演では、エムアンドシーシステム 取締役 システム企画本部長 高橋純一氏が「丸井新営業情報システムにおける情報活用の取り組み」と題した講演を行った。

 エムアンドシーシステムは、丸井のシステム部門が1984年に分社化して設立。丸井のシステム子会社として、同社システムの運用・構築を担っているほか、ソフトウェア開発やノウハウ提供といったサービスを百貨店やスーパーなどを中心に提供。全国に約200社の顧客企業を抱えている。

 丸井は現在、関東圏を中心に29店舗を展開。2004年の売上高は5562億円、経常利益381億円だった。小売業では売上高12位、経常利益は7位となり、特に百貨店業界では1位の経常利益高と経常利益率だという。同社の特徴は衣料服を中心とした展開で、特に紳士服は売上高709億円(売上高に占める割合14%)で百貨店1位だ。また、独自のクレジットカード事業も売り上げに貢献している。

高橋氏 エムアンドシーシステム 取締役 システム企画本部長 高橋純一氏

 同社では、長年にわたりメインフレーム(IBM汎用機)上に基幹システムをCOBOLなどで構築。必要に応じて機能追加を繰り返してきた、「まさにレガシーシステムの象徴のようなシステム」(高橋氏)だったという。

 システムは、独自のカード処理を行う「顧客系基幹システム」と商品管理を行う「営業系基幹システム」、経理人事などのシステムの3系統が存在。営業系と顧客系を中心にオープンシステムへ移行・再構築することとなった。再構築に伴い、29店舗に約5000台設置している売場端末(POS)「ワークステーション」を全面的に刷新するなど、大規模なインフラ投資も行う。予算は開発費用が約50億円(5000人月)、インフラ調達費用が約50億円の計100億円程度を見込んでいる。

 再構築では、営業情報をさまざまな切り口で取り出せるデータウェアハウス(DWH)を構築してOLAP(online analytical processing)ツールを導入することや、キャッシングシステムの24時間化を目的とする。

 また、POS端末のブラウザ機能による閲覧を実現しなければならないため、開発言語はJavaでJ2EE環境を構築し、リレーショナルデータベースを採用した。その際、情報提供はすべてペーパーレス化し、PCへのデータ取り込みをサポート。情報の特性に合わせて、「自由検索」「定型検索」「電子帳票」の3種類の情報提供形態を提供する。

 高橋氏によると、「通常、Webサービス化してOLAPを導入すると、検索速度が遅くなりがちだ。実際当社でも、従来は3〜4秒だったものが、OLAPツール導入後は10秒以内になった。しかし、検索時間が多少掛かったとしても、OLAPツールによるさまざまな検索機能を提供したかった」と語り、OLAPツール導入の背景を説明した。

 DWHは「売上」「荒利」「在庫」「仕入」「面積」の各テーブルごとに、2年分、計10億件のデータを持つ。このデータに対して、定型検索は10秒以内、自由検索も主要項目については2分以内の応答を実現するため、「さまざまなデータベースチューニングのテクニックを駆使している」(高橋氏)といった苦労話も出た。

 現在も再構築は進行中だが、キャッシングシステムの24時間化などは完了しており、顧客系基幹システムも2006年2月には完成する予定だという。

 今後の予定について、高橋氏は「上位者が担当の販売計画と実績の差異を、全体的に把握できるような情報を提供できるようにする。そのほか、価格シミュレーション機能の実装や、今回開発したシステムを汎用化し、ファッション専門店などへ外販するための調整や開発を行っていく」と語り、講演を締めくくった。

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