GPL 3は2007年初めに登場

FSFのメンバーはGPL 3のドラフトを作成しているところだ。最初のドラフトは今年の末ごろか来年の初めにリリースされる予定。(IDG)

» 2005年08月04日 18時56分 公開
[IDG Japan]
IDG

 GPL(General Public License)の次期版「GPL 3」は2007年初めに登場する可能性が高い。このバージョンのドラフトに取り組んでいるFree Software Foundation(FSF)の役員が明らかにした。

 GPLは最もよく使われているフリーソフトのライセンスで、リチャード・ストールマン氏が1989年にGNUプロジェクトのために作ったものだ。GPLのバージョン2は1991年に登場した。

 「バージョン2は、大きな変更もなく15年(近く)使われている」とFSFの役員で、コロンビア大学ロースクールの法学および法歴史学教授でもあるグレン・モグレン氏。「これ(GPL 2)は首尾良く採用されており、フリーソフトの重要性が低い世界から、皆がどこでもフリーソフトを認識している世界にまで進んでいる」

 モグレン氏やストールマン氏などFSFのメンバーは、GPL 3のドラフトを作成しているところだ。Software Freedom Law Center所長を務めるモグレン氏は、来週サンフランシスコで開かれるLinuxWorldでGPL 3について話す予定だ。

 「GPLをグローバル化する必要がある。GPL 2は米国以外でも欧州など各地で的確に機能してきたが、世界中の弁護士がもっと利用しやすいように、もう少し法律的に国際化する必要がある」(モグレン氏)

 「GPLはベルヌ条約に大きく依存しているが、今なお米国の著作権法を思い起こさせる文言だ。国際的な著作権をもっと明示的に認識する必要がある。GPLは一部の国の弁護士には妙に聞こえる」と同氏。FSFはまた、英語を話す弁護士を困惑させてきた一部の文言を明確にしなくてはならないと同氏は付け加えた。

 GPL 3には技術の変化――特に目立つのはWebサービスの登場だ――も反映させる必要があるとモグレン氏。GPLはユーザーによるソフトの複製、改変、共有を認めているが、FSFは再配布されるものがソフトそのもののコピーではなく、ソフトをベースにするサービスである場合について定めなくてはならない。

 モグレン氏は既に、GPL 3に関して多数の提案を受け取っているという。同氏は、ドラフトに対して8000の組織から15万件以上の意見が寄せられると予測している。「開発者、ビジネスマン、ユーザーとしての経験からGPLを考えてほしい。われわれはそれをとらえ、IBMやHPからナイロビのLinuxユーザーグループまでコミュニティー全体の意見を聞きたい」

 世界中のグループがGPL 3を議論することで、FSFが「どれだけ多文化的か」が分かるだろうとモグレン氏は言う。

 「(フリーソフト運動が)どれほど巨大で強力なコミュニティーなのかを知って皆が衝撃を受けるだろう」(同氏)

 向こう数カ月のうちに、モグレン氏やストールマン氏などのFSFのメンバーは、GPL 3の最初のドラフトを用意するという。モグレン氏はまた、GPL 3に関連した諮問委員会の結成を発表する予定だ。

 「われわれは最初のドラフトを今年の末ごろか来年の初めにリリースする。われわれの選択の理由について、そして限定的にではあるが一部の提案を取り入れなかった理由についても幅広く説明する」(同氏)

 このドラフトに関して、モグレン氏が言うところの「管理された熱心な対話」が約1年行われる。「2007年初めにGPL 3をリリースできると期待しているし、そう信じている」と同氏は語っている。

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