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» 2005年08月30日 08時16分 公開

サービスレベル管理、7つの疑問ITIL導入成功のステップ(1/3 ページ)

ITILが広く認知される以前からサービスレベル管理に取り組んできた企業は多いだろう。自社に適した管理が行われてきただろうか? 7つのポイントを紹介しよう(攻めのシステム運用管理)。

[川浪宏之,ITmedia]

 サービスレベル管理に関する取り組みは、ITILが広く認知される以前から多くの企業において行われてきた。しかし、多くの企業で導入されているサービスレベル管理の実態を見ると、SLAの設定内容、サービスレベル未達成時の結果対応などにおいて、改善の余地が多くある。

 もちろん、これまで曖昧かつ漠然としていた要求を数値で定義しただけでも、「言った」「言わない」といった不毛な議論を回避することができ、大きな前進だ。ただし、サービスレベル管理の有効性を最大化するには、教科書的な数値設定にとどまることなく、自社に適したサービスレベル管理を設計することが求められる。今回は、自社に適したサービスレベル管理の導入ポイントを、7つの疑問になぞらえて解説しよう。

疑問1:SLAは誰と誰の間で締結するものか?

 SLA(サービスレベルアグリーメント)は、サービス利用者とサービス提供者との間で締結される契約であり、契約主体にはさまざまな組織の組み合わせが考えられる。これまでは、サービス利用企業と情報子会社や、外部ベンダーといった企業間で締結されるSLAがほとんどであったが、最近は、IT部門の透明性やアカウンタビリティ(説明責任)を高めるべく、IT部門とユーザー部門との間で締結される企業内SLAにも注目が集まっている。

 なお、ITILでは、このIT部門とユーザー部門との間で締結される合意を、SLAと呼び、情報子会社や外部ベンダーとの間で締結される合意をOLA(オペレーショナルレベルアグリーメント)と呼んで区別しているが、ここでは特別に区別はしないで、総称してSLAとして扱う。

図1 SLAの締結主体

疑問2:SLAとして何を設定すればよいか?

 代表的なSLAとして、オンラインレスポンスやサービス稼働率などを思い浮かべる人も多いであろうが、これらSLAを外部ベンダーや情報子会社と締結するのは、実は多くの企業において困難といわざるを得ない。

 オンラインレスポンスやサービス稼働率などのSLAは結果指標であり、ITサービスを構成する各コンポーネントの性能や稼働率の積み重ねで達成されるものである。従って、ハードウェア、アプリケーション、ネットワークなどのコンポーネントを単一ベンダーに委託しているケース以外は、結果指標であるオンラインレスポンスをSLAとして設定することはできないことになる。一般的な企業では、システム運用などの労務を情報子会社などに委託しているが、サーバやネットワークは個別に外部ベンダーから調達しているのが現状だ。

 では、どんな指標がSLAとして設定できるであろうか。SLAの設定に当たっては、まず提供されている(委託している)サービスが何かを定義した上で、“可用性”、“性能”、“確実性”、“信頼性”、“機密性”、“保守性”などの切り口から、そのサービスの評価軸を抽出することになる。もちろん、これらの切り口の中で該当しないものもあるだろうし、網羅的にSLAを設定することが必ずしも良いことでもない。必然的に抽出されるSLAこそが順守してもらいたい項目となるだろうから、サービス範囲を逸脱していない限り、無理に頭を悩ませて考える必要はないものと考える。

疑問3:すべてのサービスに対してSLAを設定する必要があるか?

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