コラム
» 2005年09月01日 20時10分 公開

ITプロフェッショナルの本来の役割とは

ITプロフェッショナルたるもの、即効性のある薬を求める顧客に安易に迎合するのではなく、しっかり問題の本質を理解する努力を怠るべきではない。

[Peter Coffee,eWEEK]
eWEEK

 真に効果的なITシステムというのは特効薬と同様、綿密な計画から生まれるものであり、幸運の産物ではない。

 人々はよく、ITを処方薬と同じように考えるようだ。彼らがITアーキテクトのオフィスに入るとき、「組織図やワークフローから贅肉を落としなさい」などと、生活習慣を変えるように言い渡されないことを願うものだ。彼らが求めるのは、病気を直してくれる薬なのだ。

 テレビの見すぎ、新聞や雑誌の読み過ぎの患者のように、企業のITユーザーは「この前、広告に出ていたのと同じ薬」を求める傾向がある(それが彼らの問題に対して本当に費用効果に優れたソリューションなのかどうかにかかわらず)。そして彼らは、自分たちのIT医師がありとあらゆる相互関係や副作用を予測し、それらに対処できることを期待すると同時に、次から次へとソリューションを積み重ねるよう医者に要求するのだ。

 これは、ITという方程式の需要側だけに限られる現象ではない。ITの供給側も、医学部の教授らが指摘する「データを見て患者を診ない」という罠に陥ることが多い。

 ITアプリケーション開発チームは、「ビジネスプロセスの効率が悪い」とか「手作業の業務を自動化する必要がある」といった個別の症状にフォーカスすることができる。個別問題を解決したら、次の個別問題を解決し、それが終わるとさらに次の個別問題を解決していくこともできる。

 そしてやがて気が付くと(気付かないこともあるが)、互いに無関係に次々と増殖したシステムそのものが問題になっているのだ。それのみならず、彼らのアプローチは陳腐化した手法を固定化してしまい、これらの手法を合理化・現代化するのに遙かに多くのコストがかかるのだ。

 ITアーキテクトが、対症療法にきゅうきゅうとする勘違い医師のような考え方のとりこになる可能性があるとしたら、その逆に、医薬業界のアナリストやコンサルタントのアドバイスに従って製薬会社が採用しているのと同じようなプロセス分析ツール/手法を利用する可能性もあるはだ。

 医学雑誌「Pharmaceutical Processing」のWebサイトに最近掲載された記事を読んでいると、主要な用語を頭の中で置き換えれば、医薬開発の分野が推奨する手法をITシステム構築の分野にそっくりそのまま適用できることに驚いた。

 「医薬品の品質保証と品質管理は主として、比較的小さなテストサンプルから得られたデータに基づく」と記事の執筆者は述べている。このことは、重要なITシステムの実際のパフォーマンスの予測についても当てはまり、それゆえ、IT分野において厳格な監視と追跡を行う必要があるのだ。

 「医薬品の品質を高めるためには、治療目的、患者人口、管理系統、その薬の薬理学的/毒物学的/動的薬理学的特性ならびに化学的/物理的性質を徹底的に調査する必要がある」(同記事)

 IT分野でも同じことが言える。つまり、ITシステムの目的、導入環境、エンドユーザー環境、サービス提供手段、採用する技術の基本的特質と欠点を明確化する必要があるのだ。

 いやしくも「ITプロフェッショナル」などの肩書きを使うのであれば、プロフェッショナルとしての厳格な基準を採用するために意識的に努力すべきであり、現場から予想される抵抗が最も少ない安易な道を選択すべきではない。

 われわれITプロフェッショナルの任務は問題を理解することであり、治療法に関する患者の先入観に迎合することではない。われわれの責務は問題を解決することであり、現状よりも多くの問題を新たに作り出すことではない。また、企業の生活習慣が最大の問題であり、それを変えない限りどんな治療法も効果がないという、相手にとってうれしくない診断を時として伝えるのも、われわれの役割なのである。

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