企業はなぜデータ活用に悩むのか?交差するデータ事情(3/3 ページ)

» 2005年09月07日 06時55分 公開
[梅田正隆,ITmedia]
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 先進企業は、ETLツールでデータウェアハウス(DWH)にデータを統合し、データの分析にOLAPデータマイニングを活用し、フロントエンドにレポーティングツールを採用した。これらをひっくるめたのが今日のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールだ。

 IT基盤改革としては大掛かりになるが、BIツールの導入で正しいデータに必要なときにアクセスできるようになることで、意思決定をデータの裏づけ持って下すことができる。経営陣は、データを基に経営状態を把握し、迅速なアクションを取れるようになる。

 一方、現場においては、たとえば、マーケティング部門がキャンペーンを展開するときに、適切な開始時期はいつか、どれだけの期間実施すれば収益が最大化するかといった分析も可能になる。経験や勘に頼らずにビジネス戦略を立案できるわけだ。

 ただし、こうした先進企業にも課題はある。データ活用基盤を構築しても、実際に活用したり、意思決定したりするのはあくまでも人である点だ。業務部門が積極的に必要なデータにアクセスし、分析できるようになるには、組織におけるデータ活用への意識改革やツールを使いこなすだけの個人のスキルレベルも必要になる。

 データ活用の文化を醸成し、それぞれの現場がデータ活用の有用性を体験し、理解して、データ分析から計画、実行、そして評価という改善プロセスを組織全体で継続的に回していけるかどうかだ。

 欧米と比較すると日本のデータ活用の現状は、10年程の開きがあるとの意見も聞こえる。IT基盤の整備だけではなく、日常的なデータ活用が定着するか否かがカギといえるかもしれない。

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