企業における情報活用の必要性に焦点が当たったのがEIS(Executive Information System)だった。しかし、結果として、埃をかぶった「役員専用端末」が増えるだけだった。(特集:データ経営でビジネスを制す)
秦 久朗 (ベリングポイント ディレクター)
バランス・スコアカードやVBMといった企業経営の管理手法と、それをサポートするITツールをコーポレート・パフォーマンス・マネジメント(Corporate Performance Management)という言葉でITの世界に紹介したガートナーのリポートが契機となり、日本でもCPMが最近注目されるようになってきた。
私が担当するコンサルティング分野である管理会計・経営管理といった中では、従来から「業績管理」という呼び名で扱ってきた普遍的概念であるが、その内容をクライアントに説明すると、「最近よく聞くCPMのことですか」と逆に質問されることがある。
ITの観点でいえば、情報系と呼ばれるアプリケーションの活用に改めて注目が集まってきた。情報系アプリケーションとしては、ビジネスインテリジェンス(BI)の有用性をベンダー各社が盛んに訴えてきたが、ユーザーはいまひとつ理解していなかったという経緯もある。
企業経営に複雑さが増し、スピードが要求されてくると、多くの情報をいかに分かりやすく、スピーディーに提供できるかが情報システムに対する大きなニーズとなり、EIS(Executive Information System)として最初のブームが来ることになった。
しかし結果と言えば、埃をかぶった「役員専用端末」の姿をあちらこちらで見つけるのが関の山だった。意思決定サポートシステムというコンセプトは非常に優れていたものの、定義の不十分な情報を大量に羅列したために、「経営情報を使う」という経験に乏しい日本の意思決定者達はついていけなかったのだ。
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