データ活用で盤石の経営基盤をつくるための最新手法特集:データ経営でビジネスを制す(3/4 ページ)

» 2005年09月16日 00時00分 公開
[秦 久朗,ITmedia]

スポットライトは企業価値へ

 他方、経営管理の分野においては、ROEを経営管理指標の中心とする株主重視の経営から、株価との連動性が注目されたEVA(TM)/SVA(Shareholders Value Added:利益から株主資本コストを引いて算出する株主価値)を用いるいわゆる企業価値重視の経営管理が必須要件となった。EVA(TM)/SVAおよびキャッシュフロー、ROAが経営管理情報として重要になったのだ。

 事業部やカンパニーといった事業単位にこうした指標を計算するために、まずは、損益計算書だけでなく、バランスシートを事業ごとに分けるという作業が必要となる。そのためにERPにアドオンで改修するより、既存システムの外に管理会計システムとしてDWHなどを活用した体系を構築したりする。ここでも、会計分野のBIが必要になる。

 しかしながら、経営管理においては、データを単純に計算して、そのまま経営者に見せてもあまり意味をなさない。その数値を比べる相手があり、良し悪しを判断する評価基準が同時に提供される必要があるのだ。

 すなわち、予算計画であったり前年同期比であったり、業界ベストプラクティスを目標値とする場合もある。特に予算を立てさせ、達成に向かう努力を評価するというのはどの企業でも大なり小なり行われることで、最終目標が売上高であれROEであれ、予算統制の仕組みが経営管理の中に必然的に入ってくる。

 予算を作る際に、前年データも業界他社データも必要で、存在するデータをもとに加工を加えて、インターネットを通じて入ってくる商品市況統計など外部データも活用して、目標値を作成し予算計画としてデータベースに戻す。「経営管理分野のBI」は必然的にデータの範囲の広がりと予想データの生成、シミュレーションの機能が必要となる。ガートナーリポートでもCPMを「BIソリューションの戦略的な展開だ」(注:1)としている。

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