ビジネスインテリジェンス市場で顕著な動きのひとつに企業パフォーマンス管理(CPM)がある。CPMでは何よりも経営者の意思決定を助けるプロセスの存在こそが重要だ。(特集:データ経営でビジネスを制す)
栗原 潔(テックバイザージェイピー代表取締役)
最近のビジネスインテリジェンス(BI)市場で顕著な動きのひとつに企業パフォーマンス管理(CPM)がある。CPMとは、企業のビジネス状況の定量的指標であるKPI(重要業績評価指標)を総合的に管理する手法だ。もっと簡単に言ってしまえば、BIのテクノロジーを企業経営のレベルで活用することだと考えればよいだろう。
バランススコアカード、経営ダッシュボード(経営コックピット)などの経営者向けのテクノロジーや方法論が注目を集めているが、これもCPMの重要な構成要素である。
ただし、これらのテクノロジーはあくまでも情報表示のためのものであり、CPMの一部を構成するものでしかない。CPMには当然、データの分析機能も必要であるし、何よりも経営者の意思決定を助けるプロセスの存在こそが重要なのである。経営ダッシュボードを実装することがCPMであるとの誤解が見られることもあるので注意が必要だ。
日本国内におけるCPMは、まだまだ認知度がようやく高まりつつあるという段階だ。しかし、今後はグローバル企業を中心にして確実に普及が進んでいくだろう。
企業パフォーマンス管理は、ベンダーにより、CPM(Corporate Performance Management)、EPM(Enterprise Performance Management)、BPM(Business Performance Management)などのさまざまな名称で呼ばれているが、その基本的な概念は、大きく変わるところはない。
企業パフォーマンス管理の話をすると、過去におけるEIS(経営者情報システム)とどう違うのかという話が出てくることが多い。1990年代にEISはひとつのブームになったが、一部のケースを除き、成功したとは言いがたい状況だ。EISが失敗する原因には大きく以下の理由があっただろう。
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