「だれもがコンテントプロバイダー」──SunのCOOが語る“参加の時代”BEA World 2005 Santa Clara Report

2日目を迎えた「BEA World 2005」の午前の基調講演には、Sun Microsystemsのジョナサン・シュワルツCOOが登壇し、すべての人がコンテントプロバイダーになる「参加の時代」を説いた。

» 2005年09月29日 10時41分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

 米国時間の9月28日、2日目を迎えた「BEA World 2005」の午前の基調講演には、Sun Microsystemsのジョナサン・シュワルツCOOが登壇した。

Sunの若きリーダー、シュワルツCOOは「参加の時代」を説いた

 基本的な内容は、このところ同社が機会あるごとに語っている「情報化時代(Information Age)は終わり、“参加の時代”(Participation Age)になった」というもの。とはいえ、語り口は洗練されてきており、分かりやすさと説得力が増してきている。

 「かつて(Information Ageで)は、ネットワークの中心部に価値ある情報が格納され、周辺に位置する人々が中心にアクセスしていたが、現在では周辺にいる人々のところに価値があり、人々がネットワークにアクセスするのは、その価値を共有するためだ」とジョナサン氏。

 具体例として挙げられたのが、ロンドンでの地下鉄テロやハリケーン・カトリーナによるニューオリンズの被災での話。当局によって立ち入りが規制され、マスコミも報道ができない状況下でいち早く情報を発信し、世界中に状況を知らせたのは、たまたま現場に居合わせた一般の人々だったという。

 標準規格やさまざまな「オープンな」コンポーネントで構成されるSOA環境も、こうしたSunの視点から見ると「Participation Infrastructure」(参加のためのインフラ)と位置づけられ、だれもが「コンテントプロバイダー」として情報を発信し、ネットワークで共有するためのツールとされる。

 さらにジョナサン氏は、BEAとSunの関係に言及し、同じJavaコミュニティーに「参加」して価値を共有しあう関係だとした。例えば、SunがSolaris 10で実装した動的トレース機能「DTrace」をJava環境で使えるようにしようという「DTrace for Java」に関してBEAと一緒に検討している最中だという。また、Solaris 10のリリース時に、「x86とSPARCの両方のプラットフォームでSolaris 10をサポートする」と表明したのはBEAが業界で最も早かったことを明かし、感謝の気持ちも表明した。

デュアルコアAMD Opteronサーバも売り込む

 最近、お馴染みとなった、Dellのサーバのサイズ、消費電力、廃熱量、処理性能などを皮肉るビデオも改めて上映され、笑いを誘っていた。

 「Dellが実践する“コモディティー化”というコンセプト自体は良いものだが、技術そのものがコモディティー化するのではなく、技術を利用して実現するサービスがコモディティー化するのだ」とジョナサン氏。

 これが、Dellの製品に対する批判を繰り返しつつも、IA(AMD x64)サーバの拡充に注力するSunの基本的な態度表明だと理解してよいだろう。

 ジョナサンCOOは、先ごろ発表された新しいサーバである「Sun Fire X4200/4100/2100」も紹介した。Dellの同等のサーバと比較して、「性能は1.5倍、消費電力は1/3、サイズは1/4、価格は1/2」という。現在はデュアルコアのAMD Opteronプロセッサを2基まで搭載できるが、これを4ソケットあるいは8ソケットまで拡張したモデルを近く発表することも予告した。

 もちろんジョナサン氏は、自前のSPARCプロセッサを売り込むことも忘れなかった。年内にも正式発表になると噂されている次世代のCMT(Chip Multi-Threading)プロセッサ、「Niagara」(コードネーム)の写真を公開し、市場投入が間近であることを示唆した。

 「Sunは、世界で最もオープンソースに貢献している組織だ」とジョナサン氏。聴衆にコミュニティーへのさらなる「参加」を呼びかけるとともに、Sun自身もBEAをはじめとするJavaコミュニティーへの積極的な参加を約束した。

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