シックス・アパート、SpamFighterことMT 3.2 日本語版でブログ標準狙う

シックス・アパートは29日、スパム対策やインタフェース強化を軸とした「Movable Type 3.2 日本語版」の提供を開始した。

» 2005年09月29日 19時10分 公開
[森川拓男,ITmedia]

 シックス・アパートは、9月29日15時より「Movable Type 3.2 日本語版」の正式版ダウンロード提供を開始した。CD-ROMも用意され順次出荷される。また、これに先立って都内で記者発表会も行われた。

 Movable Type 3.2 日本語版は、9月9日より行なわれた公開βテスト(関連記事)に寄せられたフィードバックを受けて、提供開始されたもの。寄せられた不具合修正のほかは、β版と特に大きな差異はないという。

 記者発表会には、シックス・アパートの代表取締役、関信浩氏とプロダクト担当ディレクターの柳下剛利氏、米Six Apartのバラック・バーコビッツCEO、そしてバイスプレジデントのアニール・ダッシュ氏が同席。

 シックス・アパートとMovable Typeの歩みと今後の展開についてが語られ、Movable Type 3.2 日本語版のプレゼンテーションが行われた。

 「Movable Type」の最新版となる「Movable Type 3.2 日本語版」は、「SpamFighter」(スパム・ファイター)という開発コード名の通り、コメントとトラックバックスパム対策の強化を中心に開発されたもの。さらに、システムの運用管理機能の向上や、タブ型メニューの採用など、ユーザーインタフェースの大幅な改善が施されている。

 データベースサポートにおいても、従来のMySQL 4.xのみだったものから、PostgreSQLやSQLiteもサポートするようになったなど、パブリッシング面の強化も行われた。また、新規インストールやバージョンアップに伴うアップデート作業の簡素化も実施、1クリックで実行できるようになっている。

 当日行なわれた記者発表会では、「Movable Typeの日本における法人利用の広がりは、シックス・アパートの平田大治氏、関氏によるところが大きい」とバーコビッツCEO。

 今後の開発は、シックス・アパート、技術担当執行役員の平田大治氏を中心に行っていくことを発表した(関連記事)。それを受けて関 氏は、今後のMovable Typeについて日本に開発のベースを置き、チーフは技術担当執行役員の平田氏が務めると強調した。これにより、日本におけるブログの企業利用のニーズに、これまで以上にタイムリーに対応することが可能となったとしている。

 なぜ日本で法人のブログ利用が広まったのかという点に対して関 氏は、「それは利用している企業に聞いてほしい」としながらも「日本でブログが流行し始めたころ、米国でも個人ブログから企業でのブログ活用が始まっており、日本ではそれを受けて個人と法人の両方にブログ利用が広がった」という見方を示した。さらに、バーコビッツ氏は「関 氏は奥ゆかしい」と、日本におけるシックス・アパートの法人向け展開がその広がりの一翼を果たしていることを指摘した。法人向けブログに関しては、日本の方法を逆に米国でも踏襲しているとも述べた。

 また、関 氏はブログの認知が利用が増大する中、スパムも急増していることを指摘。「Movable Typeは3.0の段階で最初のスパム対策をしたが、その時はまだ反響はなかった」が、ブログの広がりによって現在ではそのニーズが増加していると語った。

 これらスパムに対して柳下氏からは、「1社だけで対策ができるものではない」と語り、提携パートナーとの協業を視野に入れて開発を進めるとして、まずその第一弾としてネットスターによるスパム対策プラグインとの連携を発表。ネットスターのMT 3.2対応スパム対策プラグインは現在開発中であり、近日中に公開されるという。

 MT 3.2では評価システムを標準搭載し、フィルター・プラグインによる演算処理で「迷惑コメント・トラックバック」を自動判断、一定期間の後に自動削除する機能を搭載している。

 SpamLoolupプラグインも標準搭載しており、「IPアドレスリスト」「ドメイン名」「迷惑キーワードリスト」「リンク」条件から判断する。ただし、機械的に行なうために間違った削除を行なう可能性があることから、個別に復旧も可能としている。「これまではいちいちユーザーが手動で削除するしかなかったが、大量に送られた時は繁雑だった。この機能搭載で、大幅に軽減できる」(柳下氏)という。

 また、デザイン面も大幅に見直されており、ブログサービス「TypePad」と共通のテンプレートが利用可能になった。これにより、将来的なケータイ対応を見越しているが、柳下氏によれば「TypePadと違ってMovable Typeはデザインカスタマイズが多岐にわたっているために一律にはいかない」という。

 Movable Type 3.2 日本語版の販売価格は、基本ライセンスパックが31,500円(税込)から、個人ライセンスパックは8,820円(税込)から。なお、「Movable Type 3.1 日本語版」購入済のユーザーは、無償でアップデート可能という。今回、「Movable Type 4.0」と言ってもよいほどの機能バージョンアップを行ったにも関わらず「3.2」になった理由として、柳下氏は、「ライセンス上、小数点以下のバージョンアップに関しては無償でバージョンアップ可能となっている」ことから、ユーザーサイドのことを考慮した結果とコメントした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ