IBMがグリッド・スターターパック「Grid and Grow」のパートナーを発表GridWorld(2/2 ページ)

» 2005年10月06日 15時44分 公開
[IDG Japan]
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 IBMのシステム&テクノロジーグループでLinuxとグリッドのワールドワイドマーケティングを担当するディレクター、キャロル・カーソン氏によると、ERP(Enterprise Resource Planning)用のGrid and Growも近く登場する予定だという。IBMはこの分野でまだ何も発表していないが、「SAPが、Grid and Growバンドルをサポートする最初のERPソフトウェア企業になる可能性が高い」とカーソン氏はGridWorldでのインタビューで答えている。

 キング氏によると、データベース/アプリケーションベンダーのOracleは8月、IBMのグリッド構想に相乗りしようとした。しかし、Oracleのアプローチは具体性に欠けるとIBMが判断したため、共同発表の計画は中止になったという。

 今のところ、Grid and Growは北米地域においてのみ提供されている。「ほかの地域への投入については、その時期と適切なイベントを検討中だ」とキング氏は話す。同氏によると、IBMは年末までに、欧州およびアジア太平表地域で同バンドルを発表する見込みだ。

 キング氏は、IBMのビジネストランスフォーメーション&CIO(BT/CIO)部門を率いている。同部門は、IBMのグローバルITインフラの管理を担当し、同社内でのグリッドコンピューティングの配備を進めている。IBMは現在、社内でグリッドを運用しているものの、個別業務への導入にとどまっており、包括的なアーキテクチャーとして配備されているわけではない。

 「われわれ自身が自社技術を積極的に活用していることを示すためには、グリッドをどのように利用するのがいいのか検討しているところだ」とキング氏は話す。

肥後銀行は情報統合のためにグリッドを活用

 キング氏によると、現在、全世界で200社余りの顧客が、いずれかのバージョンのIBMのグリッドコンピューティング製品を運用しているという。最近も2社の金融機関がグリッドコンピューティングを採用した。日本の肥後銀行、そしてイタリアで最大の銀行グループの1社のUniCreditである。UniCreditは最近、ドイツ第2の銀行、HypoVereinsbankを買収している。

 肥後銀行とUniCreditは、IBMがGrid and Growプログラムを発表する前にグリッドを配備した。キング氏によると、IBMは同プログラムの開発にあたり、両銀行との共同作業の経験も生かしたという。

 IBMのカーソン氏によると、肥後銀行では、顧客の融資申し込みの処理を迅速化するために情報グリッドを配備したという。このグリッドは、IBMのeServer pSeries、TotalStorage、DB2およびWebSphere Information Integratorをベースとする。

 「肥後銀行ではグリッド方式を採用することにより、営業部門と融資部門のサーバの情報を統合することが可能になった」とカーソン氏は話す。同銀行では従来、異なる部門の情報を統合するのにデータをプリントアウトしており、約150万枚の用紙を使用したという。

 「融資にかかる時間が2日以内とほぼ半減し、業務効率が約30%改善された」とカーソン氏。

 「UniCreditの場合は、Grid and Growのインプリメンテーションに近い」とカーソン氏は話す。というのも、同銀行では、44基のIBMのブレード上でRed Hatの「Linux Enterprise Server version 3」とミドルウェアの「DataSynapse」が動作するなど、Grid and Growに近い構成を導入したからだ。

 カーソン氏によると、UniCreditがグリッドコンピューティングを採用した目的は、リアルタイムに近い計算を行うために強力なコンピューティングパワーを必要とする新しいリスク管理アプリケーションを運用するためだという。

 またIBMは10月3日、GridWorldでの最初の発表として、オープンソースのグリッドソフトウェアを手がける新興企業であるUnivaから「Globus」ミドルウェアの商用リリースをライセンスする予定であることを明らかにした。

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