「米国の技術優位は揺るがない」――MicrosoftのマンディーCTO

インドのバンガロールを訪れたMicrosoftのマンディーCTOは、インドの将来性を認めながらも、依然として「米国の技術優位は揺るがない」との見方を示した。(IDG)

» 2005年10月10日 16時02分 公開
[IDG Japan]
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 米国は今日でも圧倒的なイノベーション能力を保持しており、インドや中国などの国々に負けることはないだろう――Microsoftで先進技術戦略/政策を担当するクレイグ・マンディーCTO(最高技術責任者)兼上級副社長は10月7日、このように語った。

 技術およびイノベーションの分野で、米国は発展途上国に対する優位を失いつつあるのではないかとの記者の質問に対し、マンディー氏は「総合的な意味において、イノベーションの担い手が、世界のある地域から別の地域に突然シフトするとは思わない」と答えた。

 マンディー氏は、Microsoft Research Lab Indiaの研究施設の正式な立ち上げに関連する業務でインドのバンガロールに滞在していた。同施設は、Microsoftが運営する6つの研究所の1つとなるもの。

 一部のアナリストや企業幹部の間には、米国は技術とイノベーションにおいて、インドや中国などの発展途上国に対する優位性を失いつつあると指摘する向きもある。

 米国半導体工業会(SIA)のメンバーらは3月、米国政府に対し、研究開発投資を増やし、国の教育制度を改革するよう提言した。Intelのクレイグ・バレット会長は、研究開発投資と教育を受けた労働者こそが米国のイノベーションと独創性の基盤であると指摘した。

ビジネス創造への道のりは長い

 マンディー氏によると、インドには科学技術の分野で高い訓練を受けた人々がおり、ビジネスを構築・形成する彼らの能力が高まるのに伴い、インドでイノベーションが生まれるという。

 「そのためには、知的財産保護の分野でさらなる前進が求められる。このイノベーションを真に前進させるためには、資本の形成とベンチャーキャピタルの利用の新たなモデルが現在よりも高いレベルに成長する必要がある」(マンディー氏)

 同氏によると、イノベーションは、インドなどの新興経済国で盛んになる可能性が高いという。現在教育を受けている多数の技術者が、国としての発明能力を創出するからだ。「しかし、こういった発明を商用化するのは容易ではないのが常だ」と同氏は付け加えた。

 「インドはソフトウェアサービス市場での実力を大いに高めたが、市場の個別ニーズに対応するソフトウェアビジネスをまだ生み出していない」とマンディー氏は語った。

 マンディー氏によると、インドではコンピュータサイエンスの特定教科を専攻している学生の比率が需要に対して低すぎるという。さらに「コンピュータサイエンスやソフトウェア開発そのものの教育だけでなく、ソフトウェアのビジネスを教えるためにカリキュラムを拡大する必要があるだろう」と同氏は付け加える。

 「インドでは、特にコンピュータサイエンスの博士号取得者において需要と供給のミスマッチが多い」(同氏)

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