MicrosoftとRealが見いだした独禁法訴訟の着地点(1/2 ページ)

MicrosoftとRealNetworksの和解と新たな提携は両社に、そしてユーザーにどんなメリットをもたらすのだろうか。

» 2005年10月12日 22時55分 公開
[Matt Hines,eWEEK]
eWEEK

 米MicrosoftとRealNetworksは10月11日、長期にわたる独禁法訴訟で和解し、マルチメディアソフトとコンテンツ分野での提携に合意したと発表した

 両社は世界各国で争っていたすべての独禁法訴訟で和解したとしており、両社の合意に基づき、MicrosoftはRealに独禁法問題の解決のため4億6000万ドルを現金で支払うほか、3億100万ドルを別途現金で支払い、同社の製品開発、配布、宣伝に協力する。

 また、MicrosoftはRealとの新たなライセンス契約の下、自社のMSN WebネットワークでRealの会員制デジタル音楽サービスRhapsodyを支援する。さらに、自社のMSN GamesおよびXbox Live ArcadeサービスでRealのデジタルビデオゲームを提供することにも合意した。

 両社は発表の中で、MicrosoftがRealのデジタルコンテンツサービスに会員を誘導する見返りに、その実績に応じて所定の率で3億100万ドルの支払いの一部返金を受けることを明らかにしている。

 両社は今回の和解・提携金額を総額7億6100万ドル相当としている。

 RealのCEOでMicrosoftの元従業員であるロブ・グレイザー氏は、Microsoftと密接な協力を再開することを強く望んでいたと語った。

 「われわれRealNetworksとMicrosoftは、1つの章を閉じ、新しい章、そして新しい関係を開こうとしている」とグレイザー氏。「両社製品が実力で競争できるようにするとともに、その相互運用性を向上させれば、顧客は自分に最も合ったメディアプレーヤー技術と製品を選べる」

 「われわれは、コンシューマーがいつでもどこでも好きな方法で欲しいものを手に入れられるように、われわれ2社がエンターテインメント分野で協力を展開していく基盤を築いた」(同氏)

 Microsoftのビル・ゲイツ会長は、新たなパートナーシップは両社の将来のチャンスを広げるだろうと述べた。

 「われわれとしては、訴訟での和解にとどまらないこの新たな関係の意義を理解していただきたい」とゲイツ氏。「われわれはイノベーションを通じてRealのサービスをWindowsとMSNソフトに統合する。これはまだ序の口にすぎないとわれわれは考えている」

 「この提携から、2社だけでなく、音楽にかかわる人々全体に利益をもたらす多くの成果が生まれる」(同氏)

 一方、Realは、自社製品でMSN Searchをサポートするとしている。また両社は共同で、MicrosoftのWindows Media技術とRealの携帯デバイス向け音楽ダウンロードサービスRhapsody to Goを組み合わせた利用を促進する。

 さらに、両社はスクラブルやソリテアといったローテクゲームのデジタル版など、いわゆる“カジュアルゲーム”分野で協業することも明らかにした。RealはMSN Gamesでの提供用にこうしたゲームの新しい会員制サービスを開発することに同意している。Realはまた、Microsoftが準備中のXbox Live Arcadeサービスでの配信用に新しいゲームも開発する。

 両社は独禁法訴訟での和解に関して、米国に加えて欧州と韓国での係争を解決したと述べた。Microsoftは、両社の技術の互換性向上を支援するためにWindows技術とWindows Media PlayerソフトをRealに開放すると表明している。

 Microsoftはまた、これらの製品間の新しいインタフェースの構築に取り組むと述べたほか、自社の流通チャネルであるPCメーカーとの間でRealが広く協力関係を築いていけるようにすると言明した。

 さらにMicrosoftは、Windowsユーザーが従来より簡単に、WindowsからRealのマルチメディアソフトにアクセスするとともに、自分のコンピュータ上での両社それぞれのアプリケーションの使い方を設定することができるようにすると述べた。

 またMicrosoftは、次世代版WindowsとなるWindows Vistaでは、Realのソフトを必要とするファイルにユーザーがアクセスしようとしたときに、必要なソフトがマシンにインストールされていなかった場合には、そのソフトをダウンロードできるWebページにユーザーが誘導されることも明らかにした。

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