「正しくないデータはつくられなくなる」と米OracleのPIM Data Hub開発担当者

日本オラクルはマスターデータを一元管理するための新製品「Oracle Product Information Management Data Hub」を国内で販売すると発表した。

» 2005年10月25日 22時42分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 日本オラクルは10月25日、同社のミドルウェア戦略に関するメッセージをユーザーやシステムインテグレータに向けて発信するイベント「Oracle Fusion Middleware Day」を都内のホテルで開催した。また、マスターデータを一元管理するための新製品「Oracle Product Information Management(PIM) Data Hub」を国内で販売することを併せて明らかにしている。

 PIM Data Hubの開発担当バイスプレジデントを務めるマニッシュ・モディ氏に話を聞いた。

オープンスタンダードに対応していること、機能性の高さを強調するモディ氏

 PIM Data Hubの日本語での製品名は「オラクル製品情報管理」となる。同製品は、異種システムの製品情報を一元化して管理することで、単一の製品情報リポジトリを構築、あらゆる部門のユーザーが同一の製品マスターを参照して業務を遂行することが可能になる。

 一般に、企業におけるサプライチェーンマネジメント導入プロジェクトにおいては、ソフトウェアを導入する以前の問題として、自社の業務で用いているマスターデータに一貫性がないことが問題として取り上げられることが多い。たとえば、東京都と大分県に工場を持つような製造業において、同じ部品を、2つの工場のシステムがそれぞれ異なる製品コードで処理しているといったケースが典型例だ。

 部品の在庫を削減し、需要に応じて過不足がないように仕入れることがSCMのテーマだとした場合、同じ部品にさまざまな呼び方があったのでは、いくら質の高いソフトウェアでもその性能はうまく生かされない。複数拠点にまたがった在庫の最適化は困難になってしまう。

 だが、実際には非常に多くの企業がこの問題に遭遇し、マスターデータを整備するのに時間がかかって、プロジェクトが実質的に頓挫してしまうことも珍しくない。

 PIM Data Hubは、そういった現実的な課題を解決するためのツールとなる。ERP、生産管理システム、CRM、オンラインカタログなどの異種のアプリケーションシステムで利用されているデータをProduct Data Repositoryに随時インポートすることで、すべてのシステムで同一の製品マスターを参照することができる。

 また、データの種類も、通常のリレーショナルデータベースが扱う構造化データ、WordやPDF文書、CAD画像をはじめとした非構造化データの両方を管理することが可能という。さらに、設計、販売、工場、サービスの各部門など、複数のシステムでバラバラに管理されているBOM(部品構成表)を統合し、「統合BOMレポジトリ」として管理することもできるという。

 一方で、工場BOMのユーザーは設計BOMの情報を閲覧できないようにするなどのアクセス権限の設定によるセキュリティ機能も実装されている。

 また、データ品質ツールにより、データの標準化、重複データの排除、データ検証、変更管理などの各機能も充実させたことにより、モディ氏は「正しくないデータはつくられなくなる」と話し、新製品への強い自信を表明した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ