PostgreSQL強化のため、ユーザー企業が資金をプール(4/4 ページ)

» 2005年10月27日 13時45分 公開
[Jay-Lyman,japan.linux.com]
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模範的方式?

 今回のプロジェクトは、PostgreSQLにとっても、参加した企業やユーザーにとってもよい結果となったが、一方で、協調的な資金集めと開発管理のためのインフラストラクチャの必要性が浮き彫りになった、とPostgreSQLのJosh Berkus氏は言う。

 「PostgreSQLでは、いつでもこの種の開発へのニーズが存在します。オープンソースの世界では、この種の金銭的協力をサポートする公式機関が以前から望まれていました。責任の所在を明確にし、テストもちゃんとし、支払いもちゃんとさせる――そういう組織ですね。Fundable.orgがそれを目指していましたが、あそこのアプリケーションは、資金を出して開発させようという気を企業に起こさせるほど役立つものではなかったですから……。だから、依然として『お金のSourceForge』が必要です」

 しかし、参加した当事者にとって、今回はうまくいったケースだ、とWebbasedのCave-Ayland氏は言う。

 「グループとして資金を集め、望みの機能を実現してもらうというアイデアは、個人的にはとてもいいと思います。うちは小さな会社ですから、単独ではなかなかできません。大勢が少しずつ出し合って、全員が利益を分け合う。とてもいいんじゃないですか」

 彼の見るところ、最大の鍵はラムジー氏がプロジェクトを組織し、顧客と開発者の間に立って仲介者として働いたことだった。

 「プロジェクトをサポートしてくれる企業を探すのが大変だったと思いますよ。わたし自身、最初はかなり抵抗がありました。フリープロジェクトに資金協力? そういう思いがあって……。まあ、いま思えば、こういう形のほうが筋が通りますね。たとえば、新しいASPサーバにMicrosoft SQL Serverをインストールすれば、そのたびにお金を払うわけです。それに対し、うちでは過去3年間、無料でPostgreSQLを使ってきました。そして、ある機能が欲しくて、それのためにSQL Serverライセンス1つ分程度の資金を提供しましたが、この機能はすべてのデータベースサーバで使用できて、最終製品に劇的な違いとなって反映されるわけですから」

 ラムジー氏自身は、PostgreSQLの改善を目指した今回の機能開発を「概念的にはいいモデルだが、実際的なモデルではない」と考えている。

 「今回何とかうまくいったのは、当該アップグレードが特定コミュニティー(PostGISコミュニティー)内部で十分な将来価値を持つことを大勢のユーザーが認めたという点と、信頼に足る中心的人物(Refractions)がいて、コミュニティーを奮い立たせたという点――この2点があったことに尽きます。弊社はPostGISコミュニティーに信用がありましたから、自分から手を上げて、『これは重要で、役に立つ。だから応援する』と発言することで、協力者を得ることができました。スポンサーとなる組織の信用と潜在的賛同者の多さが鍵ですが、どの機能、どのオープンソースコミュニティーにも期待できることではないでしょう。それに、信用できるプロジェクトであることを示すために、弊社は最初から資金を投じ、人も出しました。これも、あらゆる組織に期待できることではありません」

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