そのサイトは“ドメイン”に隠されたブランド力を生かしているかインターネットサービスの新基準(3/3 ページ)

» 2005年11月22日 14時00分 公開
[渡辺裕一,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 自らがドメインレジストラーに申し込んで取得することもそれほど難しいものではない。ホスティングサービスを介した申し込みであれば、利用者は別に登録と設定する手間を軽減できるメリットがあるが、多少の登録や管理コストなどが生じている場合が多い。

 ここで注意しなければならないのは、失効期間が設けられており、この期間を過ぎてしまうとWebをはじめとする各種のサービスにアクセスできなくなることだ。これまでも著名なサイトでドメイン名失効というニュースが飛び交ったことがあるが、ほとんどが更新通知のメールを見逃してしまっていた、などが理由だ。

 このため、ホスティングサービスによっては、ドメインレジストラーとのやり取りを代行するだけでなく、更新期間が近づいた場合、更新通知のメール以外にも封書で通知してくれるなど、何重もの対策を講じるところもある。基本的にはメール通知がほとんどなため、不安な場合にはこのようなホスティングサービスの代行に頼るのも堅い選択だ。

新規のドメイン取得で希望するものがない場合

 法人サイトのホスティングサービスで運用するドメインといえば、前述した汎用型の「jp」よりも属性型の「co.jp」が襟を正したイメージを持っている。しかし、ドメイン名は、世界中で唯一のユニークなものでなければならず、重複登録はできない。co.jpは古くから用いられているために、取得したいドメインが既にない場合があるのだ。

 例えば、mitsubishi.co.jp は三菱商事が1994年に取得、登録しており、三菱電機は melco.co.jp を利用している。そしてPC周辺機器のメルコ(現在は「バッファロー」に社名変更)は、melcoinc.co.jp を利用している。ただし、この事例の登録時期についてさらに見てみると、メルコは三菱商事よりも前の1993年にドメイン名を取得しているため、敢えて「melcoinc」を選択したという推測もできる。

 このように、基本的には[自社名].co.jpが理想的だが、中小法人の新規サイトで自社の知名度がまだ低い場合、また類似する社名で既に知名度の高い類似社名がある場合には、業務内容をドメインに含めた方が効果的だといえるだろう。

 asahi.co.jpは「朝日放送局」の所持するものであり、「朝日新聞社」はNews Paperの略称を含めたasahi-np.co.jpというドメイン名も所持している。アサヒといえば、例えば「アサヒビール」も当てはまり、製品のロゴも「アサヒ」である。しかし、社名表記通りのbeerを追加したasahibeer.co.jpというドメイン名を取得している。

 ドメイン名には最大で63文字(jpやcomでは、総数255文字)まで利用できる。もし自社を他社と区別できる名称や普遍的なキャッチフレーズ、企業ポリシーなども含めれば、類似名称が多くても取得できるものがあるだろう。ただし、基本的にはそれらは短いセンテンスにすることが基本だ。映画の宣伝用など時限的に告知するサイトでは、タイトルそのままの長いドメイン名にしてしまう場合もあるが、あまりに長いドメインでは気軽に覚えてもらうことが期待できなくなってしまう。あるいは、最初から覚えてもらうことは考慮せず、SEO(検索エンジン最適化)効果で期待するという考え方もあるだろう。

 gTLDのcomもまた、初期から用いられているので希望通りのものが利用できるかは分からない。「ドットコム」という語呂、語感の良さもあって宣伝効果を狙うならば悪い選択でもないが、以前ほど企業のこだわりはなくなっているという。

マルチドメインとサブドメインの使い分け

 マルチドメインとは、全く異なるドメイン名を一元的に管理するものだ。例えば、自社のドメインを[自社名].co.jpとして取得する。それとは別に、新製品や主力商品の製品名をドメインにして「製品名.jp」などとする。双方のWebサイトは同一サーバ上で稼働させる場合も多く、管理上も企業ログなどを利用しやすいよう配置することがある。これは自動車メーカー、あるいは関連グループ企業が多い企業でよく見られる手法だ。

 例えばトヨタは、日野やダイハツ、LEXUSなど傘下の企業やブランドを包括する上位ドメインとして toyota.co.jp を利用している。その中で乗用車としてのトヨタは toyota.jp と別のドメインにし、クラウンマジェスタの情報であれば、http://toyota.jp/crownmajesta/ というURLで車種ごとのディレクトリ構造を持つ。

 一方、川崎重工業であれば、国内本社のドメインを khi.co.jp でまとめ、オートバイやジェットスキーのサイトは http://www.kawasaki-motors.com/、造船関係は http://www.kawasakizosen.co.jp/ などと、全く別のドメインに移動している(もちろん、トヨタや川崎重工業などの比較的大規模な企業サイトが、1台のWebサーバで構成しているとは考えづらいのだが)。

 対してサブドメインは、ドメインの左側に付加されるものだ。古くからの慣習としてWebサイトのサブドメインには「www」、ftpには「ftp」などのサブドメインを用いるが、これは絶対的なものではない。ftpというサブドメインがついていても、Webサーバ(HTTPサーバ)が稼働し、WebブラウザでアクセスすればWebサイトとして見えるものもある。

 既に共有スペースで利用する個人向けホスティングサービスでは「[ユーザー名].xxxx.ne.jp」というサイトをよく見かける。ヤフーもトップページは http://www.yahoo.co.jp/ だが、オークションサービスは http://auctions.yahoo.co.jp/、宅配サービスには http://logistics.yahoo.co.jp/ という具合にwwwを使わずにサービス内容を表すサブドメインで区別している。これもドメイン内で統一されていれば分かりやすい形態となるだろう。

 また違った側面から見ていけば、これはURLが長くなったり、サイトのデザインにリンクがあふれてしまうことに対する閲覧者への配慮である。多くの下部組織、グループ企業を持つ企業が、一つのドメインでWebサイトを作成するのには無理がある。もしトヨタが toyota.co.jp だけを用いていたならば、乗用車の情報から傘下の日野やダイハツの新車情報を調べたり、IR情報の検索、リサイクル状況やニュースを調べるためにどれだけのディレクトリが必要か想像してみればよい。技術者やデザイナーが苦労しても、トップページへすべてをスマートに収めることは困難だろう。適度な分類とそれぞれのブランド付け、それに付随するドメインの割り当てが必要となっているのだ。

Webサーバのアクセスログどのように扱うべきか

 Webサイトで情報を発信することは市場へのメッセージだ。一方、発信側としてはその効果を計ることが重要だ。どのような人がWebページを見ているのか? そして、その傾向をつかむことで発信の狙い通りなのかを把握でき、今後の対策へと生かすことができる。

 専用サーバの場合、サイトへのアクセスログ解析サービスが標準、もしくはオプションで搭載されていることが多い。アクセスログの解析には古くから使われてきたため「analog」が知られているが、設定オプションが数百に上り、必ずしも期待できるログ解析ができるとは限らない。

 最近では、既報のように「Urchin on Demand」がGoogleによって無償公開されるなど、ホスティングの付加サービスだけにこだわる必要はないかもしれない。付加サービスの紹介で、見やすい、理解しやすいと感じるものを選択するのが大切だ。過剰な情報で機能を誇るログ解析では、結局のところ後々見なくなってしまうことが多い。

 以上のように、独自ドメインからマルチドメイン、サブドメインまで幅広く扱いたい場合は、次の点に注目しておくとよいだろう。

  • JPRSで登録事業者に指定されている
  • 扱えるccTLDの種類が多い
  • DNSホスティングサービスも行っている
  • DNSの操作をユーザー自身が行える
  • ドメインごとにアクセスログが取得できる
前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ