RSS拡張でMSのレイ・オジーCTOが狙うものは?(2/2 ページ)

» 2005年11月24日 00時05分 公開
[Lisa Vaas,eWEEK]
eWEEK
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 オジー氏は同僚とともに、こうした「メッシュ化された世界」を一つのものとしてとらえ、その中でMicrosoftもしくは他社の任意のコラボレーション製品を使用して、オブジェクトの管理とカレンダーの変更の相互反映を同時にできないかと一計を案じている。

 「どうしたらそういったプロトタイプをすぐに開発できるか考えた。というのも、データ同期機能の動作を確実なものにして、この問題のユーザーエクスペリエンス面に対する取り組みに、より多くの時間をかけたかったのだ。相互につなぐ基礎部分より、こうした側面に手間をかけることの方がはるかに重要である」(オジー氏)

 RSSは一方向性の技術であることから、これをそのまま利用することはできない。ニュースフィードと同じく、RSSは情報を外部へ排出するだけで、変更について返信されても受信するのは不可能だ。

 だがオジー氏は、RSSの単純性は魅力的だと言う。ここから同氏は全体として単純性を追求するという考えに至り、またNotesに思いを馳せることにもなったそうだ。オジー氏いわく、Notesは「考えられ得る限り最も単純な複製メカニズムを持っていた」。

Notesの複製アルゴリズムを応用

 「Notesは1985年にIrisで完成させた。ひどく速度の遅い20Mバイト容量のハードドライブを搭載する、クロック数6MHzの286モデルをベースとしたIBM PC/ATに向けたものだった」とオジー氏は当時を振り返る。

 「1Mバイトを超えるメモリを使用できるように、LIM EMS(Lotus Intel Microsoft-Expanded Memory Specification)規格の開発に力を尽くしていた。そうした設計案のすべてが、単純性と効率性を実現するためのものだったのである」(オジー氏)

 したがって、カレンダー機能やコンタクトリストの共有機能のメッシュモデルにおいて単純性を目指すのであれば、ここにNotesの複製アルゴリズムを応用するのは理にかなっている、とオジー氏は述べている。

 「Notesの『notefiles』および『notes』がそれぞれRSSの『feeds』および『items』に、またNotesの『items』がXMLの『elements』に相当すると考えられる」(オジー氏)

 さらにオジー氏は続ける。

 「notefilesは、GUID(Global Unique Identifier)の割り当てに基づいた非常に単純なメカニズムを、時計やタイブレーカとともに利用して複製を行い、変更点を検知して確定的に配布している。こうした機能は、XMLで簡単に実現できる。notefilesは分散的かつ自律的な方法で相互を複製するが、feedsも似たような手段で『互いを読み込む』ことができるのだ。自分がしようとしていることを明確に把握できていれば、これは不思議でも何でもないことなのだが、存在証明を得るには確かに役に立つ」

 こうして、オジー氏とその共同開発者らは、数週間のうちにRSSの拡張仕様SSEを作り上げてしまった。オジー氏はこのプロトタイプを手土産に、早い時期にRSSの生みの親であるワイナー氏と面会している。オジー氏と初めて対面したワイナー氏は、この拡張がほかの問題をも解決する可能性を持っていることに気がついた。すなわち、OPML(Outline Processior Markup Language)リストの変更点や、あるいは異なるユーザーもしくはサービスによって管理されるアウトラインの変更点を複製する際の問題を解消できるというのだ。

 ワイナー氏はMicrosoftの作業グループに対し、SSEをOPMLでも利用可能なように調整できないかと提案した。結局、そうするためにはSSEにちょっとした修正を加えればよいことが分かり、コラボレーションの状況を分散的に概括するための新しい体系が開発されるに至ったのである。

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