日本オラクル、導入意欲喚起を狙い大企業向けソリューション「Oracle EO」発表

日本オラクルが、短期間かつ低コストのシステム導入と運用を実現する「Oracle EO」を発表した。EBSの各モジュールを意識しなくとも、組織横断的な標準ビジネスフローを簡単に導入・セットアップできるという。

» 2005年11月28日 18時14分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本オラクルは11月28日、大企業向けの新しい戦略ソリューション「Oracle Enterprise Offering(EO)」を発表した。業種別の「標準的な使い方」をベースとしたビジネスフローを最大限に活用することで、Oracle E-Business Suiteの導入およびセットアップを省力化し、短期間かつ低コストのシステム導入と運用を実現するという。

 都内のホテルで行われた記者発表会で新宅正明社長は、「スピーディーかつ低コストのソリューションを提供することで、企業顧客の導入意欲を刺激したい。(売り上げの半分を大企業が占めるため)大企業向けのOracle EOが日本オラクルのアプリケーション事業の成否を分けることになる」と話す。

日本オラクルの新宅正明社長

 Oracle EOは、150に上るE-Business Suiteモジュールを標準ビジネスフローとして簡単に導入・セットアップできる「Oracle Accelerators」や、日本独自の商習慣機能を標準として実装する「ベースライン・プロジェクト」、および「Oracle E-Business Suite」「Oracle Fusion Middleware」というソフトウェア製品群によって実現される大企業向けソリューション。

 中でも核となるOracle Acceleratorsは、ウイザード形式のセットアップツールとビジネスフローで構成され、E-Business Suiteモジュールを意識しなくとも、モジュールにまたがる組織横断的な標準ビジネスフローとして導入・セットアップできる。日本オラクルでアプリケーションソリューション本部長を務める石川正明氏によれば、これまで1〜2カ月かかっていた導入・セットアップが1〜2週間で済むという。

 「大企業向けのテンプレート提供は難しいといわれているが、Oracle EOでは、ビジネスフローに依存する事前定義セットアップとウイザードによるセットアップを組み合わせ、求めたい自由度に応じてその比率を可変させることで実現する」(石川氏)

 グローバルには既に240のビジネスフローがOracle Acceleratorsによって導入・セットアップできるという。Oracle Acceleratorsの開発は米国本社で行われているが、日本向けの開発チームも設置済みだ。日本オラクルでは、日本の固有のビジネスフローや商習慣に合わせたチューンアップが可能だとしている。

 Oracle EOによって短期間かつ低コストで導入・セットアップできる日本市場向けのソリューションは、2006年3月の「Oracle OpenWorld Tokyo」までに20、2006年5月末までには30が順次リリースされる予定。現在のところ、パートナーは21社、業種も14に上る。

 記者発表会では、小売り業界向け「売り場資源最適化ソリューション」(アビームコンサルティング)、地銀向け「戦略統合人事ソリューション」(金融財政総合研究所)といったビジネスフローソリューションのほか、化学業界向け「化学物質情報管理ソリューション」や水平的な「CPM(企業業績管理)ソリューション」(ベリングポイント)が紹介された。

 Oracle EOソリューションのバリエーションには、Oracle Acceleratorsによるビジネスフローソリューションだけでなく、Oracle Fusion Middlewareによるデータハブソリューションも含まれている。

 日本オラクルでインダストリー&アプリケーション事業を統括する東裕二副社長は、「Oracle EOは、ビジネスフローにフォーカスし、Oracleのナレッジとパートナーの業界ナレッジを融合し、従来のテンプレートソリューションを大きく超えた高い価値を提供するものだ」と話す。

 なお、Oracle EOは、顧客およびパートナーに無償提供され、将来は中堅企業向けの「Oracle NeO」、中小企業向けの「Canon Decision Suite」といったパートナーのノウハウをベースとした事前構成済みのソリューションの基盤ともなるという。

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