壊れたHDDのデータ復旧できるの知ってましたか?

ワイ・イー・データは、破損したデータが復旧できるか否かをWebブラウザ上で確認できる「Ontrack VeriFile Online Data Reports」サービスを開始する。

» 2005年11月29日 21時39分 公開
[大津心,@IT]

 ワイ・イー・データは11月29日、データ復旧の可否情報をWebブラウザ上で提供するサービス「Ontrack VeriFile Online Data Reports」(以下、VeriFile)の提供を12月1日より開始すると発表した。法人向けのデータ復旧サービスだけではなく、個人向けのサービスも提供する予定だ。

 ワイ・イー・データは、安川電機製作所の子会社として1973年創業した会社。米オントラックと技術提携を締結し、データ復旧サービス「Ontrack」を開始した。データ復旧サービスの市場規模は19〜20億円程度で、同社はシェア53%を占める。個人需要も急激な伸びを示しているという。2005年の媒体別データ復旧はハードディスクが77%となり、顧客の80%以上が法人ユーザー、10%強が個人ユーザーとなる。

浜田氏 ワイ・イー・データ 常務取締役 オントラック事業部長 浜田賢一氏

 ワイ・イー・データの常務取締役オントラック事業部長、浜田賢一氏は、「データ復旧サービスのポイントは、破損したデータの復旧率だ。当社は、世界各国のオントラックとハードディスク各機種のナレッジデータベースを構築しているため、ノウハウの量が競合他社より多い」と語り、データ復旧サービスにおける同社の優位性を示した。

 ワイ・イー・データでは、物理的に破損したメディアや内部の機械的問題などによって復旧できなくなったデータ復旧を試みる「ラボラトリ・データ復旧サービス」と、ハードディスクドライブ(HDD)の論理的破壊の復旧をインターネット経由で行う「リモート・データ復旧サービス」、開かなくなったファイルを修復する「ファイル修復サービス」の3種類のデータ復旧サービスを提供している。中でも一番依頼が多いのが物理的に破損したHDDのデータを復旧するラボラトリサービスだという。

 同社では、破損したメディアを受け取ると、データ復旧ができるかどうかの調査を行い、「どの程度、復旧ができるか」「ディスク内にどのようなデータが入っていたか」などの調査結果をユーザーにレポートする。ユーザーはレポート内を精査し、データ復旧の必要性があれば、データ復旧を申し込むことになる。調査から復旧したデータをユーザーに渡すまでの時間はおおよそ3日間からとなる。

 ワイ・イー・データ、オントラック事業部副事業部長営業部長の沼田理氏は、「競合他社で『復旧不可能』と判定されたものでも、60%以上が復旧できた実績がある。特に、調査の段階の正確さや早さはデータ復旧をするか、しないかの肝になるので重要だ」と説明した。

 ディスクを調査した際に、中に含まれているファイル名や容量、破損状況などのデータをユーザーに報告する。従来は、その報告方法がテキストデータを添付で送り、ユーザーはプリントアウトするなどしてチェックしていたが、検索性が悪いなどのデメリットがあった。今回発表されたVeriFileは、その報告をWebブラウザベースで提供するというもの。

デモ画面 「VeriFile」のデモ画面。ハードディスク内のデータがエクスプローラ形式で表示されるのでどんなデータが入っているのかが、視覚的に分かりやすくなっている

 ログイン画面でActiveXをインストールし、送られてきたレポートファイルをドラッグ&ドロップすると、ディスク内のデータがWindowsのエキスプローラ形式で表示される。さらにファイルの詳細表示や、拡張子別などで検索が可能な「フィルタオプション」機能も備えている。

 沼田氏は、「報告書は、テキストで2MB程度、印刷するとA4で100枚ほどになってしまい、その中から『○○というWORDファイルを探したい』と思っても大変な作業になってしまう。一方で、データの中身が分からなければ復旧費用を出すか、出さないかの判断ができないことから、調査の効率化はかなりのユーザーメリットになるだろう」と語り、VeriFileの機能に自信を見せた。

 浜田氏は、「HDD復旧の平均的なコストは四十数万円だ。いままでは、分かりやすい調査結果もない状態で、数十万円のお金を払うか、払わないかの決断をしなければならなかった。VeriFileによって、HDDの中身や『必要なデータは復旧できるか?』といった大事なポイントを踏まえたうえで判断できるようになるだろう」と説明。

 「データ復旧サービスはまだまだ知名度が低く、20%程度のユーザーしか壊れたHDDからデータ復旧できることを知らない。米国では年率20%で成長している市場なので、今後も啓蒙活動を行い、年率20%の成長を目指したい」と今後の意気込みを語った。

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