コラム
» 2005年12月01日 16時48分 公開

ビル・ゲイツはリーナス・トーバルズにはならない

Microsoftが本当に「オープンドキュメント」という課題を解決したのかどうか、まだ判断を下すことはできない。とはいえ、Microsoftの行動が自分たちのニーズを満たすものであるかどうかを判断するのはユーザー自身なのである

[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftが自社のフォーマットのオープン化とコード共有の方法を決定するにあたっては、同社はユーザーおよび彼らの真のニーズに対して責任があるのであり、同社がずたずたになるのを期待しているオープンソース信奉者に対して責任があるのではない。

 人々が「Microsoftはオープンソース企業になっていない」と不満をこぼすのを止めたら、わたしはこういったコラムを書かなくても済むだろう。それまでの間、筆者は、ビル・ゲイツ氏がリーナス・トーバルズ氏やリチャード・ストールマン氏(訳注:フリーソフトウェア運動のリーダーの一人)になるのを期待している人々は、必ず失望する羽目になるということを根気強く説明するつもりだ。

 一方、Microsoft Officeフォーマットを読み書きできるアプリケーションを求めている人々は、自分たちが手に入れるものに満足できるはずだ。すなわち、訴訟を起こさないというMicrosoftの約束、そして将来的には、標準化団体のお墨付きの、仕様が公開されたファァイルフォーマットである。あなたの求めているものが、Microsoftのフォーマットをサポートする非Microsoftアプリケーションであるとしたら、その要求は半ば以上かなえられたも同然だ。

 MicrosoftのドキュメントをOpenOfficeやStarOffice、WordPerfectといったアプリケーションから読み書きできるようにするという要求を満たす一方で、そのフォーマットの知的財産と今後の進化については、今後も自社がコントロールするというのが同社の方針であるようだ。

 しかし筆者の考えでは、Microsoftのフォーマットは、必要に応じてサードパーティーによって拡張される可能性がある(とはいえ、この辺りの状況は筆者にもよく見えない)。これは、Microsoftに今後明らかにしてもらいたい幾つかの疑問の1つである。

 オープンソースコミュニティーがそのライセンス原則に例外を設ける必要があるというのは、彼らが得るものと比べれば、ちょっとした不便にすぎない。人々がMicrosoftのフォーマットに手を加えることを認めることは同社に要求されていないが、オープンソースコミュニティーがMicrosoftのフォーマットを(同社の仕様通りに)製品に含めることは認めるべきである。

 確かに、これは資本主義的要素をオープンソースの世界に持ち込むものではあるが、多くの企業において商用製品とオープンソース製品が仲良く共存しているという現実の反映にすぎない。一部の「保護された」コードをオープンプロジェクトに含めることを認めるという例外を設けることが、なぜそれほど大きな問題になるのか理解できない。現実の利便性よりも原則の方が大事だというのだろうか。

 筆者は、この論争自体が的外れなものであると考えている。これは、Microsoftと(同社が何をしようと満足することのない)オープンソース陣営との議論であるべきではなく、Microsoftとユーザーとの議論でなければならないのだ。

 Microsoftがフリーソフトウェアを含む非Microsoftソフトウェアからアクセスできるフォーマットでデータを保存するよう、ユーザー(米国北東部の州のユーザーも含む)が要求するのは至極当然のことだ。さらにユーザーは、仕様が公開されていない拡張機能や秘密の機能の集合のようなフォーマットではなく、標準として提出されたフォーマットを実際に使用するようMicrosoftに要求すべきである。

 Microsoftはかつて、非公開のAPIを使用していたことで、しかるべき批判を受けていた。これらのAPIは、競合企業が利用できず、おそらくMicrosoftに競争優位を与えるものであった。

 Microsoftは訴訟を起こさないと約束するだけでなく、自社のドキュメントフォーマットを変更する際には、それを自社製品に組み込む前に公表することを約束すべきである。

 Microsoftの「オープン性」に関する約束は、ほかのソフトウェアメーカー各社が、作成時点のファイルと、それをMicrosoft互換アプリケーション間で移動したときとの間で忠実な再現性を実現/維持できるかどうかによって判断すべきである。

 WordPerfect上でMicrosoftフォーマットで作成されたファイルが、WordあるいはOpenOfficeで開いたときに「正しく」表示されなかったとしたら、オープン性が実現されていないということになる。

 Microsoftが本当に「オープンドキュメント」という課題を解決したのかどうか、まだ判断を下すことはできない。筆者は、同社がこれまでやったことが十分だとは思わない。特に問題なのは、同社が何を提供しようとしているのか、ユーザーには理解しにくいという点だ。

 Microsoftは何を約束したのか、そしてその約束がユーザーおよびソフトウェア開発者にとって何を意味するのかを、同社はきちんと説明しなければならない。

 一方、Microsoftがずたずたになるのを見ることを最大の楽しみにしている不平集団のニーズではなく、Microsoftの行動が自分たちのニーズを満たすものであるかどうかを判断するのはユーザー自身なのである。

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