北米もお粗末? Gartnerの調査で浮かび上がるデータ保護対策の実態(1/2 ページ)

北米でも災害時のデータ保護対策はまだまだお粗末だという調査報告をGartnerがまとめた。45%がバックアップを実施しているものの、その70%がローカルでのバックアップだという。(IDG)

» 2005年12月05日 08時51分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米国では今年、カトリーナやウィルマなどの大型ハリケーンが発生し、データをコピーして保護対策を施す企業が激増したが、複製データを保管している場所は災害に対して依然として脆弱だとする調査報告を、Gartnerが米国時間11月末に発表している。

 北米のIT管理者104名を対象に9月に実施された同調査では、回答者の45%がデータをほかのディスクにバックアップもしくはコピーしたと答えた。2004年に同様の回答をした管理者の割合は、わずか6%だったという。もっとも、70%に上る回答者がローカルデバイスにバックアップを保存しているという結果も出ている。

 Gartner(コネチカット州スタンフォード)のアナリスト、アダム・クチュール氏は、データの保護を真剣に考えている企業は、自社もしくはサービスプロバイダーが所有するオフサイト施設に、データを電子的に複製しておくべきだと指摘した。

 シアトルのGrange Insurance Groupでシステムプログラマーを務めるデイル・コールドウェル氏は、同社は1年前まで毎晩13時間かけてデータをテープにバックアップし、それを市内の別の場所にあるオフィスに保管していたと話す。だが、米国同時多発テロや近年相次ぐ自然災害の発生を受け、規制当局は、複製データのオフサイト保管を含むディザスタリカバリ計画を立案するよう、企業に求めるようになった。

 最終的にコールドウェル氏は、同社のメインデータセンターの仮想テープライブラリ(VTL)と、230マイル離れたワシントン州スポーケンにあるオフサイト設備の間で、データの複製を行うことを決めた。メインフレームのテープデータセットの保存・検索には、Bus-Tech(マサチューセッツ州バーリントン)のVTLコントローラを使用し、既存のテープインフラストラクチャーの大半は廃棄するという。

 「(オフサイトでのデータ複製は)非常にうまくいっている。かなりの時間を節約できるのだ」(コールドウェル氏)

 コールドウェル氏によると、ディスク間でデータを複製することで毎晩のバックアップ作業が2時間短縮され、テープでは2時間かかっていたデータ保存所用時間も、ディスクの利用で45分に削減されたという。

遠隔バックアップサービスを検討する企業も

 一方、DDJ Capital Management(マサチューセッツ州ウェルズリー)でCTOとして働くクリストファー・バーナー氏は、現行のテープバックアップから、EVault(カリフォルニア州エメリービル)が提供するオンラインデータバックアップおよびリカバリサービスと、SunGard Data Systems(ペンシルバニア州ウェイン)の保護サービスを用いた、電子バックアップ体制へ移行することを検討している。

 DDJ Capitalでは、EVault製ソフトウェアが稼働するバックアップストレージサーバを同社のLANに導入し、定期的なバックアップを行って、削除したファイルをローカル保存する予定だ。また同社は、やはりEVault製ソフトウェアを搭載する複製バックアップサーバを利用して、SunGardのデータセンターにインターネット経由でデータのコピーを保存する計画も進めている。

 「これにより、当社のディザスタリカバリ対応能力は向上し、スタッフもバックアップを簡単に行えるようになるだろう。テープを毎晩自宅に持ち帰る必要も、銀行の貸金庫に保管しているテープをローテーションさせる手間もなくなるのだ」(バーナー氏)

 現地の保管所には必要に応じて削除済みファイルを保存し、オフサイトバックアップ施設はディザスタリカバリに利用するという。

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