インタビュー
» 2006年01月24日 08時30分 公開

構造改革としての2007年問題:EAの生みの親、ザックマン氏語る (1/3)

2007年問題が日本企業の情報システムの構造変化のきっかけになるとして、次のあり方を考える場合、エンタープライズアーキテクチャが1つのキーワードになる。生みの親であるザックマン氏に話を聞いた。

[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 オンラインムック「構造改革としての2007年問題」

 ここ数年、企業の情報システムを構築する際の方法論として、EA(エンタープライズアーキテクチャ)に注目が集まっている。2007年問題が、従来型の情報システムから、言うなれば、21世紀型の情報システムへの構造転換を意味するとすれば、業務とITを一体化させた全体最適のシステムをつくる上で、EAは有力な技法の1つになってくる。

 EAとは、「組織の構造と機能をある一定の考え方や方法で包括的に体系化し、それを記述し、全体と構成要素の相互関係を明らかにし、その構造の背景にある基本理念や設計思想を含めて企業活動の全体最適を実現するアーキテクチャモデル」と定義される。情報化の具体的な方法論というよりは、情報システを構築する上で、組織の全体構造を把握するための「見取り図」としての役割を果たす。

 EAの生みの親であるジョン・A・ザックマン氏に話を聞く。ザックマン氏は、1980年代にEAのフレームワークとなる「ザックマン・フレームワーク」を開発、EAを提唱して世界に広めたことで知られている。

かつては米軍に所属していたという。日本については「ものづくりの心意気」などに好感を持っていると話す。マイクロソフトが開催した、XMLなどの技術を活用した相互運用性をテーマにしたイベントに参加するために来日したザックマン氏

ITmedia ここ数年、日本でもEAへの注目度が高まっています。そして、EAのベースが、「ザックマンモデル」であることもよく知られています。まず、ザックマンモデルを体系化した経緯について聞かせてください。

ザックマン 1960年代に、私は経営管理システムを構築しようと考えていました。これは、経営において何かを計画して、それがうまく実行されたのか、あるいは、されなかったのかを管理するものです。実際にうまく物事が運んでいなかったら、柔軟に計画を変更するといったアクションを取るためです。

 そして、1960年代後半には、計画のつくり方と、全体の戦略の位置付けが固まってきました。そこでは、計画の中で、戦略が定める事柄をいかに実行していくかが課題でした。ですから、システムを構築するに当たっては、戦略の立案から、実行までを橋渡しするアーキテクチャが必要と感じたのです。

 しかし、その時は、そのアーキテクチャがどうあるべきかは分かりませんでした。つまり、エンタープライズに対して、アーキテクチャがどんな意味を持つのかが理解できていなかったのです。

 ただし、ここで考えたときに、エンジニアリングを構築する人たち、たとえば、100階建ての建物やIBMの最新サーバ、ジェット機などを設計している人々は、いくら複雑な構造をしていたとしてもその製品の構造を熟知しているわけです。構造を理解していなければ、こうした製品をつくることはできません。

 私は、産業における製造のプロセス上の構造を理解することは、エンタープライズにおけるアーキテクチャのあるべき姿を理解することにつながると考えるようになりました。さらに、どんな複雑な製品も、その仕組みを言葉で表現できる(著述的である)ということを、発見したのです。

 ですから、私は製造のプロセスの中にある著述的な構造を拾い出し、それをエンタープライズに当てはめたのです。それが、エンタープライズアーキテクチャになったわけです。

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