システム障害に苦慮するSalesforce.comのベニオフCEO

Salesforce.comの「Winter '06」発表会で同社のマーク・ベニオフCEOは、昨年12月20日と今年1月6日の2回にわたってサービスの停止を確認したことを明らかにした。だが、今回のサービス停止が持続的な問題であるとは考えていないようだ。

» 2006年01月24日 18時45分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Salesforce.comのマーク・ベニオフCEOは先週、最近起きた同社のサービス停止の事実を認め、「時としてアーキテクチャの奇癖に遭遇することもある」と述べた。

 Salesforce.comの「Winter '06」発表会でベニオフ氏は、昨年12月20日と今年1月6日の2回のサービス停止を同社が確認したことを明らかにした。12月20日の障害は6時間近くにわたった。1月6日には、深夜に小規模な障害が発生し、欧州/中東/アフリカの顧客が影響を受けた。

 しかしeWEEKが報じた通り、Salesforce.comのオンデマンド型CRM(カスタマーリレーションシップ管理)ソフトウェアでは、同社が認めているよりも多くの速度低下やサービス停止がこの1年間で発生したと指摘するユーザーもいる。

 これらのユーザーの多くは、一連の障害は同社の急速な成長に伴うひずみが原因であると見ている。しかしベニオフ氏は、そういった見方を否定した。

 「われわれの仕事は、データセンターのリスクを低減することである」とベニオフ氏は語る。

 「当社の新しいデータセンターでは、あらゆるものが冗長化されている。われわれは複数のネットワークを持っているので、ISPがダウンして1つのネットワークが使えなくなっても大丈夫だ。複数のルータを持っているので、1つが使えなくなっても大丈夫だ。スイッチも複数持っている。このように、極めて強力な冗長性を実現している。しかし当社はソフトウェアアプリケーションを提供する企業だ。12月20日に起きたような問題に遭遇し、システムがダウンすることもある」(同氏)

 ベニオフ氏によると、同社では数時間に及ぶ障害が発生するような状況を避けるために、あらゆる努力をしているという。

 「そのような状況は避けたいと考えている。しかし残念ながら、当社はソフトウェアベースのシステムを運用しているため、コードがテストされていなかったり、今回のケースのように、ベンダーから提供されたコードに問題が含まれていたりすると、Salesforce.comのシステムに障害が起きることになる」とベニオフ氏は説明する。

 同氏によると、12月20日のサービス停止のような障害は2度と起きないようにしたいという。「わたしはこれまで20年間、データベースに携わってきたが、こういった障害は初めてだ。このようなことはあり得ないと思っていた」

 ベニオフ氏は、今回のサービス停止が持続的な問題であるとは見ていないようだ。

 「当社の7年の歴史を通じて、われわれは非常に高い信頼性と可用性を提供してきた。この状態を維持することがわれわれの仕事だ。誰でもそうだが、われわれも100%を目指している。しかしそれは誰にも不可能だ。相手はコンピュータなのだから」(同氏)

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