今こそ中堅・中小企業にERPを!ゼロから始める中小企業IT化への道(2/2 ページ)

» 2006年02月13日 08時24分 公開
[伊嶋謙二,ITmedia]
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導入効果を知ればERP導入に前向きになる

 下記の図3を見てほしい。同様にノークリサーチがERPの認知度について調査したものだが、ERP導入に積極的な約30%の企業と、導入に消極的な約70%の企業の間には、その認知度に大きな違いがあることが分かる。つまり、、中堅・中小企業がERPの機能や導入効果、提供しているITベンダーをどれだけ深く理解しているかがERPの導入検討に大きく影響を与える結果となっている。

図3 ERP認知度と導入意向(調査対象:全国の中堅・中小企業約6000社対象、有効回収票885件 調査分析期間:2005年2月〜4月)

 ERPを「まったく知らない」という約90%の企業は、ERP導入に消極的な態度を示している一方で、「ERPの導入効果などを熟知している」ユーザーの約70%は、ERP導入に非常に積極的である。まったく知らなければ導入を検討しようがないのは当たり前だが、ERPの理解が深まるほど導入意欲が高まるERPには、大きな魅力があることは間違いない。実際にERPを導入(検討)している中堅・中小企業はERPのどこに魅力を感じているのだろうか?

オフコンにはない機能がERPの魅力

図4 ERPの魅力(調査対象:全国の中堅・中小企業約6000社対象、有効回収票885件 調査分析期間:2005年2月〜4月)

 導入企業、未導入企業ともに半数を超える企業がERPパッケージの魅力として挙げているのが、「パッケージに含まれる業務機能の広範性」である(図4)。その後、「低価格」「複数の外部システムとの接続性」が続いている。外部システムとの連携や、業務機能の広範性といった機能とともに、オフコンやメインフレームよりも低価格で基幹業務システムを導入できる点に期待していることが読み取れる。

 以前はERPと言えば、「大企業のためのシステム」というイメージが強く、実際にERPを導入すると、億単位の資金が必要になることが普通だった。しかし、近年、大企業向けERP市場が飽和し、ITベンダーも中堅・中小企業市場を意識し始めてきた結果、現在の中堅・中小企業向けERPパッケージは、最低1000万円程度で導入することが可能になっている。また、以前は導入に必要な期間も1年以上掛かることもよくあったが、現在では半年程度で導入できるようになっている。早ければ3カ月で導入できる場合もある。中堅・中小企業向けERPは、統合的な業務管理やコスト削減といったERPの魅力はそのままに、安価で早期に導入できるメリットを持っているのだ。

 しかし、このようなERPの特徴を理解している中堅・中小企業はまだまだ少ないのが現状だ。ITベンダーはERPの「認知度」を高めるべく、これまで以上に提案、啓蒙活動に力を入れるべきである。一方、ユーザー企業の側も旧態依然とした昔ながらの業務システムにしがみつくことなく、安くて付加価値の高いERPについて積極的に勉強すべきだろう。各種メディアの利用はもちろんのこと、出入りの営業マンから情報を聞き出すなど、積極的に情報収集することを勧めたい。

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