冒頭にも触れたが、既存の国産ERPベンダーはもちろん、2004年にはSAPやオラクルなどの大手外資系ベンダーやインフォベックといった国産ERPベンダーのSMB市場への新規参入が始まり、2006年内にはマイクロソフトの同市場への本格参入を明らかにしている。
このような、SMB市場における売り手の絶対数の増加で、それ以前に比べ、SMBユーザーの商談の機会や提案を受ける頻度が高まっている。それとERP価格が低下傾向にあり、買いやすくなってきていることも一因だ。ミッションクリティカルな基幹業務システムであるERPが単に「安かろう悪かろう」になることは避けたいが、競争激化の中で低価格化が進んでいくことはSMBにとってはプラスに働くことは間違いないだろう。
IT投資について、大企業は予算制であるために比較的安定しているが、SMBは景気動向に直接左右される傾向が強い。そのため、ここ最近の景気回復基調がこういったSMBのIT投資意欲を刺激し、プラス方向にベクトルを合わせていると考えることができる。
グラフ2.は2004年度におけるライセンスベースで見たERPパッケージシェアを示している。トップが16.7%で富士通「GLOVIA-C」、2位が13.8%で大塚商会「SmileαAD」、3位が9.7%で住商情報システム「ProActive」となっている。
2004年度のシェアについて言えば、前年度から比較しても大差はない。強いて言うならば、参入したばかりのインフォベックの「GRANDIT」が顔を覗かせているのが注目される。
次回は、国内ERPベンダーシェアで上位に位置する富士通、大塚商会、そして、新規参入の各社の戦略を分析し、またSMBを取り巻くERPベンダーの競合関係などを解説していく。
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