ハブシステムを通ったシステムは、ERPやSCMなどのバックオフィス系の基幹システムにデータを流す。これでIT統制におけるインプットコントロールの統制環境対応を実現する。アプリケーションコントロールについては、前回ご紹介したようにERPなどの業務処理統制に対応したシステムを適用することで対処する。
アウトプットコントロールのポイントは、帳票出力およびBI(ビジネスインテリジェンス)、または、CPM(企業業績管理)という2種類のアウトプットに分けて考えることだ。
従来の出力管理は、ほぼ間違いなく、システムごとに個別の帳票機能やレポート機能がバラバラに作られている傾向がある。しかしこれでは効率的な統制環境対応は難しいのが実情だ。アイデアとしてERPなどの各種バックオフィス系のシステムや、出力データに必要なマスター、ワークフローなどの情報もいったんハブシステムに取り込み、情報の出口を一元化する必要がある。
その上で、統制された権限者のみが帳票出力やレポート出力が許されるように制御する。当然、ログやタイムスタンプ、扱われたデータなどはモニターされる。
簡単にまとめると次のようになる。入力は紙を電子化してすべての情報がいったんハブシステムを通るように一元管理する。次に、個々の業務処理システムに適宜配信し、データ処理を行う。この処理後、データを帳票やレポートに出力する際には、個々の業務処理システムの出力機能ではなく、再度ハブシステムを介して出力制御を必ず行うようにする。これは、入力と出力の際に常に情報導線を1つに絞り、IT統制環境を実現する手法だ。
具体的なツールについて、入力ツールとして一般的なのはWebだが、中堅企業は紙文化であることからよりエンドユーザーのしきいを低くするために、ウイングアークテクノロジーズのStraForm-XやマイクロソフトのExcelを利用すると効果的かもしれない。
出力系はアプリケーションごとに作りこむのではなく、XMLに対応した同じくSVFX-DesignerとRDEや、XMLに対応予定の次期のMS-Officeがコストパフォーマンスも高く、ユーザーの支持を得やすいと思われる。ハブシステムは、多様なシステムとの接続や変換に実績を持つアプレッソのDataSpider ServistaやマイクロソフトのBizTalk Server2006などが、SAPなど主要なERPとの接続実績を多く持っている。
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