「日本法人の売り上げ比率を倍増させたい」とサン末次新社長

米国本社の幹部を日本法人の社長として送り込んでくるITベンダーが相次ぐ中、Sun Microsystemsは末次氏を指名した。同氏は「3年以内に日本法人の売り上げ比率を倍増させ、日本法人の発言力を高めたい」と意気込む。

» 2006年04月04日 07時30分 公開
[松岡 功,ITmedia]

 サン・マイクロシステムズの社長に4月1日付けで就任した末次朝彦氏が「アイティセレクト」のインタビューに応じ、今後の方針などを語った。同氏は「ワールドワイドに占める日本法人の売り上げ比率を、3年以内に倍増させたい」とし、ユーティリティービジネスモデルの促進や重点分野を絞り込んだソリューション展開を強化していくという。

4月1日付むでサン日本法人の社長に就任した末次氏

アイティセレクト サン日本法人のビジネスの現状をどうとらえていますか。

末次 今年度(2006年6月期)は前年度に比べてビジネス全体として上向いており、好調に推移しています。その大きな要因は、昨年秋に一新したサーバ製品が好評を得ているからです。日本市場では来年度もサーバの更新需要が数多くあることから、まずは確実にそれに対応していきたいと思います。

 また、昨年春までに製品販売の仕組みやサービスの提供形態を刷新し、この1年間はそれをひとまず運用してきました。ここにきてそれがかなり定着してきたので、手直しすべきところは修正し、基本的な路線は踏襲していきます。

アイティセレクト 新社長としての抱負を聞かせてください。

末次 Sunは「永遠のベンチャー」であるところが魅力であり、強みですが、日本法人としてはそれを生かしながら、もう一度ビジネスインフラをきちんと整備して、生産性を高め、より戦略的な動きができる集団にしたいと考えています。

アイティセレクト 今後、注力したい事業は何ですか。

末次 IDCとASPサービスを軸としたユーティリティービジネスモデルを大いに促進していきます。日本では、大企業においては着実に利用が進んでいますが、中堅・中小企業向けにはまだまだこれからです。その最大のネックになっているのは「データを預ける」ことへの不安感が拭えないからだとみています。この点については、このビジネスモデルを協業するパートナー企業と力を合わせて一段と信頼されるシステムを提供していくとともに、ユーザーにも「銀行にお金を預けるのと同じ感覚」であることを訴求していきたいと考えています。

アイティセレクト ソリューション分野ではどこに重きを置きますか。

末次 いま企業にとって大きな問題となっている、日本版SOX法への対応をはじめとしたガバナンス、およびコンプライアンス(法令遵守)へのソリューションは、米国本社の豊富なノウハウを活用しながら、しっかりと提供していきます。さらに今後、ネットワーク社会が拡大することを考えれば、省スペース化や、消費電力と発熱量の削減といった環境保全対策も非常に重要です。そうした重要度の高い問題に力点を置いてソリューションを展開していきます。

アイティセレクト SunはこれまでIT分野のビジョナリーの役割を果たしてきたが、最近はその発信の勢いが少し弱まってしまったのではないでしょうか。

末次 そうは思いません。Sunが当初からビジョンとして掲げている「The Network is the computer.」が実現するのは、むしろこれからです。したがって今後の私たちの重要な役割として、改めてSunのメッセージを分かりやすい日本語でお伝えしていかないといけないと思っています。

 その第1弾として、4月18日から21日にかけて4大都市(東京、名古屋、大阪、福岡)で、最新のITトレンドのすべてをご紹介する「Sun Business .Next」を開催します。こうした活動を今後も強化していきます。

アイティセレクト 今後、日本法人の規模や影響力を大きくしていく上での目標は何でしょうか。

末次 ユーティリティービジネスモデルに移行していくとなると、今後は単純に売り上げ規模では計れなくなりますが、私の胸の内としては、Sunの世界全体に占める日本法人の売り上げ比率(編集部注:現在10%弱とみられる)を、3年以内には倍増させたいと思っています。それによってSunの中での日本法人の発言力を高め、事業の強化につなげていきます。

 なお、このインタビューの詳細は「月刊アイティセレクト6月号」(4月28日発売)にて掲載いたします



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