Longhorn Serverベースのパッチ配布サーバは何を革新するか?(3/3 ページ)

» 2006年05月08日 07時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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インターネット接続PCの管理
 現行のSMSでは、インターネットを介して接続しているPCをスキャンしたり、このようなPCにソフトウェアをインストールするには、まず仮想プライベートネットワーク(VPN)を確立する必要がある。SMS v4では、VNP接続なしでもこれらの操作を安全に実行できるようになり、モバイルユーザーやホームオフィスユーザーのコンピュータの管理が容易になる。

新しい管理インタフェース
 SMS 2003管理コンソールは、Microsoftの新しいスクリプト言語Monadと、実際の構成操作や管理操作を実行するSMS v4固有のMonadコマンドレット(cmdlet)を基盤とするグラフィカルなコンソールに刷新される。このコマンドレットはMonadのコマンドラインインタフェースまたはスクリプトから呼び出すことができ、定期的に実行する操作を自動化できるようになる。このような自動化は、現在は実現されていないか、実現されていたとしても使い勝手の悪いソリューションしかない。Monadは、現在のVBScriptやJavaScriptに比べて高レベルの言語で、開発知識のない管理者であっても、容易に学習および使用できるだろう。また、管理コンソールをMonadベースとすることで、グラフィカルコンソールから実行できる操作をすべてスクリプトにより自動化できるようにしている。なお、提供が予定されているExchange 12とMicrosoft Operations Managerバージョン3の管理コンソールも、Monadベースになる見込みだ。

 Monadへの対応のほか、新しいインタフェースでは、パッチの展開などの一般的なタスクの操作が簡素化される。また、マルチスレッドも拡張され、他のタスクの終了中であっても、管理者がタスクを継続して実行できるようになる見込みだ。そのほか、特定のSMSオブジェクトに対しては、ドラッグアンドドロップおよび複数選択もようやく実現される予定である。

非MS製品対応がISV戦略のポイントに

 SMSの市場シェアの特定は困難だが、Microsoftの2005年4月の発表では、SMSを導入している企業は20000社以上あり、SP1のダウンロード数は83000に上るという。このような企業ユーザーの多くは、数万から数十万単位のシステムをSMS 2003を使って管理している。SMSは通常の小規模企業にとっては複雑すぎる製品だが、中規模以上の企業では、Windowsシステムの50%以上のシェアをSMSが確保できている可能性はある。

 このシェア拡大は、Windowsエンタープライズ市場をターゲットとする他のソフトウェアベンダーの戦略に影響を与えるかもしれない。特に、SMSのカスタム更新機能に対応するかどうかが、重要なポイントになるだろう。

 ISVが独自のパッチ配布メカニズムを(当然ながら)用意していたとしても、SMSを使用する企業の多くは、単一のツールを使用してソフトウェアをまとめて管理したいと考えるだろう。CUPTツールとカタログファイルの公開スキーマを備えたSMS 2003 R2がリリースされれば、ISVは比較的容易にSMS対応のカタログファイルを作成し、これをWeb上で公開して管理することができる。ISVから、このようなSMS対応カタログファイルと、ユーザーの介入を必要とせずに無人インストールが可能なWindowsインストーラファイルなどの実行可能ファイルとしてパッチがWeb公開されれば、SMSを導入している企業ではこれまでよりもはるかに容易にISVの製品を最新の状態に保てるようになる。これによりパッチの適用率が高まれば、顧客満足度の向上と、セキュリティ問題の軽減につながる。

 SMSによるパッチ管理に対応しない場合は、SMSを導入している顧客から敬遠され、SMS対応の競合製品に顧客が流れてしまう可能性も皆無ではない。

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