ゲイツ氏からのメール――「ビジネスインテリジェンスを超えて」(1/3 ページ)

Microsoftの会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏は、顧客やパートナーに当てたメールの中で、「情報過多/不足」という課題に対する同社の解決策を提示した。

» 2006年05月19日 16時17分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftの会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏が書いたエグゼクティブメールが5月17日に、顧客およびパートナー宛てに送られた。折しも同日、同社の年次CEO Summitが開催され、全世界の多数の主要企業の代表として参加した100人以上のCEOを前にゲイツ氏がキーノートスピーチを行った。

 「Beyond Business Intelligence: Delivering a Comprehensive Approach to Enterprise Information Management」(ビジネスインテリジェンスを超えて:エンタープライズ情報管理に対する総合的アプローチの提供)と題されたエグゼクティブメールの全文を以下に掲載する。


 今週、全世界の多数の主要企業を代表する100人以上のCEOがワシントン州レドモンドに集まり、企業の様相を一変させる可能性のある技術トレンドについて議論する。この会議「Microsoft CEO Summit」は、当社が1997年以来開催してきた年次イベントである。

 第1回Microsoft CEO Summitから約10年の間に、技術はビジネスの世界を大きく変革した。当時は、電子メールはビジネスコミュニケーションに適したメディアとして登場し始めたばかりのころだった。電子商取引は初期段階にあった。ほとんどの企業では、業務を遂行するのにファックスや電話にまだ依存していた。

 今日、われわれは全世界の同僚、顧客、パートナーと即座にコミュニケーションやコラボレーションを行うことができる。グローバルサプライチェーンは、製造現場から店舗の棚に至る製品の流れを速めた。携帯電話は社会の隅々に浸透した。電子メールへのモバイルアクセスも急速に一般化しつつある。

 技術は就業者にも驚くべき影響をもたらした。生産性はかつてなく高まった。買い手は、自分の机の前に座ったままで全世界で買い物をすることができる。売り手は、かつては手が届かなかったような市場にアクセスすることができる。顧客、競合企業、市場に関して収集される情報の量も、かつてなく膨大になった。

 しかし、こういった変化があまりにも激しく、日常業務で使っているツールでは対応できないと思えることもある。

 問題は2つある。1つは情報の過多である。われわれは、日々刻々と際限なく生成される膨大なデータを処理しきれないのだ。そして膨大なデータを処理するのに追われ、最大の価値をもたらす重要なタスクに集中することができないのだ。

 もう1つの問題は情報の不足である。われわれの周りには情報があふれているが、これは、情報を効果的に利用するためのツールが存在することを意味するわけではない。

 企業は情報の過多と不足のために高い代価を払っている。インフォメーションワーカーは、情報の検索に勤務時間の30%を費やしているという推定もある。この生産性の低下によるコストは、従業員1人当たり年間1万8000ドルにも上る。一方、カリフォルニア大学バークレー校の予測によると、われわれが保存するデジタルデータの量は向こう2年間で2倍近くに増える見込みだ。

 このため、情報過多/不足という問題に対処することは、極めて重要な課題なのである。幸いにも、新世代の技術革新がこの問題に対するソリューションへの扉を開けつつある。これらのソリューションにより、必要な情報を素早く見つけ、その情報を知的な意思決定に結び付け、得られた知識を社内および社外で即座に共有することが非常に簡単になるだろう。情報過多/不足問題を解決するには、単に検索ツールを改善するだけでは不十分である。必要なのはエンタープライズ情報管理に対する総合的なアプローチ、すなわち企業が情報の作成、収集、利用のすべての段階にわたって、情報および人への投資から最大限の価値を引き出すのに役立つアプローチである。

 こういったソリューションがメインストリームになるのに伴い、ビジネスの成功につながる主要な原動力のすべてにわたって劇的な改善を期待できる。ビジネス情報を検索、利用、共有する作業を効率化するソフトウェアは、顧客との関係強化、イノベーションの迅速化、業務の改善、パートナーおよびサプライヤーとの柔軟な連携を可能にする。

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