ゲイツ氏からのメール――「ビジネスインテリジェンスを超えて」(3/3 ページ)

» 2006年05月19日 16時17分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK
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次の10年間を展望する

 エンタープライズ情報アクセスという問題を解決するために、当社は多大な研究開発投資を行ってきた。その成果として、当社は向こう12カ月の間に、人々が職場で情報を検索、利用、共有する方法を変革する広範な新技術を発表する予定だ。「Windows Vista」や、「2007 Office System」に含まれる「Microsoft Office SharePoint Server 2007」と「Microsoft Office Outlook 2007」などの製品は、インフォメーションワーカーと彼らが仕事を効率化するのに必要な情報との間に横たわる溝を埋めるだろう。

 近い将来、情報アクセスの効率化を目指したもう1つの新技術が利用可能になる予定だ。これは、「Knowledge Network for Microsoft Office SharePoint Server 2007」と呼ばれる強力な検索ツールである。このアドオンは、組織の専門知識と人間関係を把握するもので、これによりインフォメーションワーカーは、適切なスキルと知識を持った人間と素早く連絡を取ることが可能になる。さらに、「Windows Live Search」のテストバージョンも発表する予定だ。これは、デスクトップ、イントラネットおよびWeb上に存在する情報を検索するためのワンストップ型の入口となるものだ(関連記事)

 1997年のCEO Summitでのわたしの最初のキーノートスピーチの中で、10年後には帯域幅が大幅に改善され、大多数の大人が電子メールを利用するようになり、旅行の計画、商品の購入、友人との連携などでWebが不可欠になるだろう、とわたしは予想した。まだこれらの予想のすべてが実現されたわけではない。10年後には、コンピュータとのインタフェースとして音声を利用するのが普通になっているだろうとも予想した。しかしこれはもうすぐ実現するだろう。

 今年のCEO Summitのテーマは「次の10年間」である。10年後、われわれはどの地点まで到達しているのだろうか。わたしが1997年に言ったように、われわれは2年後の変化の大きさについては過大評価し、10年間にわたる変化の大きさについては過小評価する傾向がある。しかしある程度の確度をもって言えることもある、とわたしは考える。

 今後10年間で、ネットワークは高速化し、コンピュータの処理速度は今後もムーアの法則に従って向上し、データストレージの低価格化が続くだろう。一方、高解像度ディスプレイの低価格化、軽量化、ポータブル化が進むだろう。携帯電話は今日のデスクトップPCに匹敵するパワーとストレージを備えるようになる。最も重要なことは、すべてを結び付けるソフトウェアがユーザーの仕事のやり方を理解する能力をさらに高め、ユーザーがより効率的かつ直感的にソフトウェアを使えるようになるということだ。

 今後10年間で、「検索」という考え方は、知識へのシームレスなアクセスというコンセプトに取って代わられるだろう。人々は普通の英語(あるいは普通のスペイン語、フランス語、中国語、あるいはロシア語)を使ってコンピュータを操作できるツールを利用し始め、必要な情報あるいは人々と即座にリンクするようになるからだ。この「New World of Work」では、あるシステムから別のシステムにデータを移動するといった単調な反復作業が自動化され、従業員は真の価値と成長をもたらす仕事に、はるかに多くの自分の時間と創造的なエネルギーを集中できるようになるだろう。

 1997年のCEO Summitのテーマは「Corporate Transformation for Friction Free Capitalism」(摩擦のない資本主義を目指した企業変革)であった。居ながらにしてほとんど無限の情報にアクセスすることが可能な今日、グローバルサプライチェーン、24時間動き続ける国際市場、そしてデータを瞬時に世界中で移動することを可能にするコミュニケーションツールは、10年前に多くの人々が考えていたよりもずっと、われわれを摩擦のない資本主義の世界に近づけた。

 これからの10年間そしてNew World of Workの可能性を展望するとき、われわれはさらに強力なアイデアに近づいているとわたしは思う。それは「摩擦のないイノベーションの時代」である。

ビル・ゲイツ

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