管理サーバ製品で複雑さを増すMSのライセンス体系(3/3 ページ)

» 2006年05月30日 07時00分 公開
[Paul DeGroot,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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アップグレードパスの注意

 ユーザーがこれまでに購入した従来の1種類だけだったMOM OMLは、自動的にMOM Enterprise OMLにアップグレードされる。だが、MOMの将来のバージョンがリリースされたときにOMLをアップグレードできるのは、Microsoft製品のアップグレード権を保証するソフトウェアアシュアランス(SA)を購入済みの顧客に限られる。SAを購入していない顧客は、MOMの新バージョンのOMLを正規価格で購入しなければならない。

 また、顧客はMOM Standard OMLの購入時にSAも併せて購入しなければ、OMLをStandard からEnterpriseにアップグレードすることはできない。

 一方、既存のライセンスがSystem Center Standard SMLに自動的にアップグレードされることはない。顧客がStandard SMLに含まれる管理ライセンスのSAを購入している場合も含めてだ。Standard SMLに含まれるライセンスのいずれかを持っている顧客でも、Standard SMLは正規価格で購入しなければならない。Microsoftは、顧客が既存の管理ライセンスの適用対象マシンを変更し、DPM、MOM、SMSで管理したいデバイス用にStandard SMLを購入することを勧めている。

 Standard SMLを購入する際には、企業はSAの購入も考えるべきだ。SAを購入すれば、Standard SMLがカバーする管理サーバのどれかがアップグレードされた場合、そのサーバのデバイス管理ライセンス(サーバアプリケーションと同じバージョンでなければならない)もアップグレードされるからだ。例えば、DPMでサーバをバックアップする企業は、Standard SMLを購入すれば、必要なデバイス管理ライセンスを取得できるが、DPMの次期バージョンがリリースされたときには、アップグレードされたデバイス管理ライセンスが必要になる(デバイス管理ライセンスは、対応する管理サーバとバージョンが一致していなければならないため)。Standard SMLのSAを持っていない場合、企業はライセンス上、DPMの最新バージョンでサーバをバックアップすることはできず、新しいDPMデバイスライセンスか、新しいStandard SMLを購入しなければならない。

 単体のデバイス管理ライセンス(Standard SMLの一部としてではなく、個別に購入される)のアップグレード方式は、今回のライセンス体系の変更による影響を受けない。単体のデバイス管理ライセンスは、SAを併せて購入した場合には、管理サーバの新バージョンのリリース時にアップグレードできる。これに対し、SAを購入しなかった場合には、管理サーバの新バージョンを購入するたびに、対応するデバイス管理ライセンスも購入しなければならない。

StandardおよびEnterprise OMLで管理されるワークロード

カテゴリ 管理されるワークロード Standard OML Enterprise OML
基本的なOSユーティリティ システムリソースマネージャ
パスワード変更通知
Baseline Security Analyzer
Reliability and Availability Services
ファイル/プリントサービス プリントサーバ
分散ファイルシステム(DFS)
ファイル複製サービス(FRS)
ネットワークファイルシステム(NFS)
ファイル転送プロトコル(FTP)
Windows SharePoint Services
ネットワークサービス 分散ネームサービス(DNS)
動的ホスト構成プロトコル(DHCP)
Windowsインターネットネームサービス(WINS)
アプリケーションと高度なワークロード ビジネスアプリケーション
データベース
アイデンティティ管理
メッセージング
コラボレーション
Web
セキュリティ
管理
リモートアクセス
ターミナルエミュレーション
その他
Microsoft Operations Manager(MOM)でデバイスを管理するには、管理対象デバイスごとにOperations Management License(OML)が必要だ。OMLにはStandardとEnterpriseの2種類がある。Standard OMLでは、OSのファイル、プリント、ネットワークサービスなど、基本的な機能の大部分を監視できる。Standard OMLのスーパーセットであるEnterprise OMLでは、これらに加え、Microsoftのサーバアプリケーションや高度なワークロード(データベースやターミナルエミュレーションなど)を監視できる。この表は、これら2つのライセンスでカバーされるコンピュータワークロードを示している。


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