Microsoft CCF2005とGenesysの連携が実現する顧客満足度向上策

G-force 2006 Japanでマイクロソフトの通信・メディアソリューション本部の仁木隆司氏がMicrosoft Customer Care Framework 2005とGenesysが提供するCTIソリューションの連携について紹介する講演を行った。

» 2006年06月29日 16時09分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]

 ジェネシスジャパンが開催したG-force 2006 Japanにおいて、マイクロソフトの通信・メディアソリューション本部の仁木隆司氏が、1月に発表したカスタマーセンター向けソフトウェアソリューション「Microsoft Customer Care Framework 2005(CCF2005)」と、Genesysが提供するCTIソリューションの連携について紹介する講演を行った。

カスタマケアの課題を解決する新発想のソリューション

 CCF2005は、顧客対応を行うデスクトップにおいて、課金、CRM、オーダーマネジメントをはじめとする基幹システムからの情報を統合的に表示するソリューションだ。音声、インスタント・メッセージング(IM)、電子メールといったコンタクトセンターにおけるカスタマーサービスチャネルの緊密な統合を実現し、カスタマーサービスを改善するとともに、運用コストを低減することができる。

 仁木氏は講演の冒頭「特に次の2点をお話ししたい。1点目は、CCF2005とGenesysのCTIソリューションが連携することにより、ユーザー企業の既存の業務システムやコールセンターに蓄積した情報を上手に活用することができるようになること。もう1点は、これが従来のEAI(企業アプリケーション統合)などのシステム連携のソリューションとは異なった新しいアプローチであるということだ」と述べた。

 続いて、現在のカスタマケアを取り巻く課題を挙げる。

 1つは、業務システムが乱立しており、必要な情報が分散しているため、コンタクトセンターシステムがそうした情報をうまくハンドリングできないこと。そのため、一人の顧客に対応するために、エージェントなどの担当者が幾つものシステムを操作しなければならなくなっている。また、CTIを導入したいが、バックグランドのシステムが乱立しているため、どのようにシステムを連携していいのか分からないといったケースも多い。

 さらに、CTIとCRMパッケージを同時に導入するのは理想的だが、それにはかなりのコストと時間が掛かることも課題になる。また、CTIとCRMを同時に導入しても、次々と変化するビジネス環境に的確に対応することが難しいという点も挙げられる。

 そうした課題に対応できるのがCCF2005とGenesysのCTIの連携による、これまでとは異なる新しいアプローチであるというのが仁木氏の主張だ。

 「この新発想のソリューションは低コストかつ短期間で導入ができ、既存のシステムとそこに蓄えられている情報の有効活用が可能になる。これによって顧客満足度が向上し、オペレーションの効率化も図れる」とその特徴を強調している。

プロセス全体のオペレーションを効率化

 続いて、仁木氏はCCF2005の特徴を次のように紹介した。

 「一言でいえば、複数のアプリケーション画面を統合してオペレーションを効率化するためのラッパー製品である。また、画面を統合するだけでなく、プラスアルファの機能を提供することで、オペレーションの効率化、高品質化、ひいては顧客満足度の向上を図ることができる」(仁木氏)

 従来、コールセンターシステムに複数の業務システムが乱立している場合、顧客の情報を検索するキーがバラバラというケースは多かった。しかし、CCF2005はそれを集約し、一方で既存のシステムにはほとんど手を入れる必要がない。これはEAIなど既存のアプローチとは大きく異なる点だ。さらに新たなシステムの取り込みも容易である。

 「これらの機能によって、カスタマケアに関するプロセス全体のオペレーションを効率化することができる。CCF2005は電話を受けてからの後処理、つまりPCを操作する部分で効果を上げることができるソリューションだが、カスタマケアにはそれ以外にも、入電からIVR(音声自動応答システム)、ルーティング、応答、さらには事後の分析までの長いプロセスがある。そこで、CCF2005とGenesysのCTIがうまく連携することで、カスタマケアの課題をプロセス全体で解決することができる」(同氏)

 つまり、入電から応答まではGenesysが、そしてその後の顧客対応から後処理まではCCF2005が、さらにその後の分析はマイクロソフトのSQL Serverが担うことで、コールセンターの長いプロセス全体を効率化できるというのが仁木氏の主張である。

 最後に仁木氏は、CCF2005の導入事例を2つ紹介した。1つは、米国の大手通信事業者の例だ。この事業者は、40のコールセンターに約5000名のオペレーターを抱えている。そこでCCF2005を導入したところ、コール処理時間が20%短縮され、コール当たりの売り上げも25%増加したという。さらにオペレーターの勤務時間も長期化したが「これはオペレータートレーニングのコスト削減につながる大きな効果だ」と仁木氏は強調した。

 続いて紹介したのはDellの例である。同社は全米9カ所のコールセンターに8000台の端末を備えているが、CCF2005の導入でコール時間は10%以上、トレーニング時間も45%削減でき、ROIは実に900%向上したという。

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