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» 2006年07月03日 08時15分 公開

今どきのバックアップ入門:これだけは知っておきたいデータ管理の最新トレンド (2/2)

[堀江徹,ITmedia]
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 重要なのは、企業内でのデータの運用方法とリスク管理を考慮した上で、適切なRPO、RTOを見極め、予算化をするという点だ。また同時にビジネスに見合った投資をすることが重要であり、過剰な投資をする必要はない。ただ、リスクとのバランスがとれていない運用になった場合には、企業の存続にもかかわる大きなリスクがある点にも注意が必要だ。図1のように、このRPO、RTOの要件によって、データ保護にはさまざまな手法があることをまずは知っておきたい。

 RPOを中心に考えるのならば、オンラインバックアップ、RAIDディスク構成の導入、レプリケーションなどのソリューションが考えられる。また、RTOを中心に考えるのなら、クラスタリングやシステムのホットスタンバイなどが考えられる。

システム保護とデータ保護

 企業で扱う電子データの急激な増加に伴い、システムはいっそう肥大化し、複雑化している。その中で、「システム」と「データ」双方を安全に保護することはごく当たり前の要求となっている。ここで言うシステムとは、OSやアプリケーションの動作環境のことである。システムのみを保護しても、企業資産となるデータ自身が損失しては意味がない。反対に、システムで作成されたデータのみを保護しても、動作環境自体が復旧できなければ、速やかなビジネスの復旧は困難だ。これまでは、システム障害などが発生した場合には、OSやアプリケーションを再インストールし、データをリカバリするという手順で、システムを再構築するのが一般的なシステム復旧プロセスとなっていた。しかし、インフラがより複雑化している状況では、このような過去のやり方ではビジネスの継続性を維持することは非常に難しい。それぞれを統合的かつ効果的に管理する手法を導入する必要があるだろう。

図2 システム保護とデータ保護

ここで企業におけるデータは大きく次の3つに分類できる。そのすべてを適切に効果的に保護できるソリューションが重要になってきている。

1.OSなどのシステム/アプリケーション環境

 OS、アプリケーションなどのシステム導入時の構成やサービスパック/セキュリティパッチの適用時点でのシステム更新情報。

2.データベース、グループウェアなどの基幹インフラ上のミッションクリティカルな情報

 企業のビジネスの中核となるビジネスと連動して作成、更新されるいわゆるミッションクリティカルなERP、CRMなどの企業のデータ資産。そのほか、データベースや電子メールなども相当する。

3.一般的な共有情報など、不定期に更新されるデータ資産

ビジネスのバックエンドとして使用されるような人事データや、部署、グループごとに作成、共有される情報。例えば、社外秘情報や個人情報はここに分類できる。

非構造型データの管理

 また、最近のデータ管理においては、データ自体の多様化が大きな問題となって顕在化してきている。これまでのデータ保護では、企業における最も重要なデータは主にSQL やOracleといったデータベース、電子メールシステムと対象が限られていた。このような構造型データの場合は、それぞれのアプリケーションが提供するAPIやユーティリティツール、そしてバックアップソフトウェアにおいても専用のオプション製品が用意されているので、データの保護は確立されてきたといえる。

 その反面で、構造化されていないデータの保護は大きな問題になりつつある。例えば、一般的なオフィス文書や、インスタントメッセージ、Webで公開するマルチメディアデータ、さらにIP電話による通話データや通話記録、そしてWebを使った会議や画像など新たなコンテンツに関しては、効果的な管理方法が確立されていない。これらの多様化した非構造型情報をバックアップして、単に保存することはさほど難しいことではないと思うかもしれない。しかし、バックアップされたデータから必要なものを検索して、取り出すことを考えてみてほしい。非構造型データは、単にやみくもにバックアップしてもIT管理者の負荷は減らないどころか、リカバリにかかる手間と時間を増やすばかりなのである。これらの非構造型データは現在急激に増加しており、IT部門の格納/管理能力を超え、ストレージ管理をますます困難にしている。

 これらを解決する方法として、最近では「情報ライフサイクルマネジメント」(ILM)という考え方に基づいたアプローチがさまざまなストレージベンダーから提案されている。これはデータの「価値の変化」に着目して、ストレージ管理方法を最適化することでコスト削減を図るという方法で、情報のライフサイクル、すなわちデータの生成から編集、保存、検索、変換、アーカイブ、廃棄・削除までの一連の流れと、それに応じたデータ資産価値の変化に着目している。

 このライフサイクルに応じてデータを集中管理すれば、不適切なファイルが企業のストレージ上に格納されないように遮断することや、組織が法的問題に直面しないように保護することが可能になる。同時に管理者は、業務上適切なファイルのみを格納、バックアップすることができるので、貴重なディスク領域を取り戻し、ストレージの増大を抑制することにもなる。ILMの手法に関しては、今後に改めて触れたい。

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