キーレックス、IBMとダッソーのPLMソリューションを導入

日本IBMとダッソー・システムズは7月19日、キーレックスが、IBMとダッソーのPLMソリューション「CATIA V5」および「DELMIA」を導入し、バーチャルファクトリーの構築に取り組んでいることを明らかにした。

» 2006年07月21日 00時00分 公開
[ITmedia]

 日本IBMとダッソー・システムズは7月19日、自動車のボディシェル(ボディの骨格)を主要製品とする広島県安芸郡の自動車部品メーカー、キーレックスが、IBMとダッソーのPLMソリューション「CATIA V5」および「DELMIA」を導入し、バーチャルファクトリーの構築に取り組んでいることを明らかにした。

 これによりキーレックスは、量産に入る前段階までの設計過程の効率化および自動化を推進し、生産準備期間を大幅短縮することを目指す。

 キーレックスで生産技術部担当専務取締役を務める山路義明氏は、「自動車業界での開発期間短縮に対応していくため、生産要具設計やシミュレーション作業の効率化と、早い段階から製品品質の育成に着手できるバーチャルファクトリーの構築が課題でした。今後、全社的なCADプラットフォームとしてCATIAへの統一も視野に入れ、ナレッジの共有、効率化をさらに推し進めていきたい」と話している。

 キーレックスでは、主要顧客である自動車メーカーが推進する開発期間短縮活動に対応するため、さらに提案力および競争力を強化することが大きな課題となっていた。課題解決に向けて、生産準備期間の短縮を可能にするバーチャルファクトリー構築への取り組みを開始した。

 ソリューションの選定に当たっては、自動車メーカーでの利用実績、シミュレーションとの親和性、カスタマイズ性などを総合評価し、2005年1月にCATIA V5を導入した。また、CATIA V5との連携では最適なダッソーの3次元デジタルマニュファクチャリング製品「DELMIA」を5月に導入し、効果的に活用している。

 従来は、自動車メーカーの正式図を受け取ってから工程設計、生産設備設計を経て、実際の生産ラインを製作し量産試作を行っていた。だが、この間に発生する問題や変更への対応に多くの時間を費やすことになってしまっていた。

 今回の取り組みにより、バーチャルファクトリーを構築することにより、早期段階での不具合の解決および実機稼働段階での問題発生の解消が可能となり、生産開始までの期間短縮が実現できる。治工具の構成部品や設計ルールなどのノウハウを標準化し、CATIA V5のテンプレート設計により、業務の効率化を実現している。

 設計業務の15%程度時間短縮、またモデリング作業に関しては従来のミッドレンジCADと比較して35%程度の高速化が可能となる見込みだ。またCATIA V5とDELMIAとの高い親和性により、同一画面でロボットティーチングと治具設計ができるため、生産性と設備設計をスムーズかつ十分に検討できるようになったという。加えて、CATIA V5上で自社開発した生産性評価ツールにより、車両開発の早期段階で自動車メーカーから渡される製品モデルを、生産技術の視点で評価でき、生産性評価時間も短縮された。

 今後は、CATIA V5とDELMIAをさらに活用し、作業者ならびに物流の要素を取り入れたシミュレーションや、ラダープログラムなど制御系のプログラミングやデバックをバーチャル環境で実施できる仕組みを実現する。

 さらに、溶接技術との連携による高精度のシミュレーションの実現を目標としている。バーチャルファクトリーでナレッジを共有し、すべてをバーチャルでシミュレーションすることで、ミスを防ぐと同時に生産準備期間の大幅な短縮が期待できる。また、SMARTEAMによる設計関連データの一元管理やプロセス管理、自動車メーカーとのコラボーションを見据えたインフラ環境の整備や展開も計画中だ。

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