Ottawa Linux Symposium4日目:クローハートマン氏による基調講演Linuxの最新動向が一目で分かる(3/6 ページ)

» 2006年07月31日 10時00分 公開
[David-'cdlu'-Graham,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 次に同氏が言及したのは、クローズドソースでバイナリのカーネルモジュールの問題であった。同氏によると、過去に対談した知的所有権関連の法律家の見解は、彼らがどの企業と契約しているかにかかわらず、基本的に「クローズドソースのLinuxカーネルモジュールは非合法である」という点ですべて一致していたとのことだ。同氏によると、これは法律家には言いはばかる意見であるが、自分は公言できるとのことである。

 こうした法的な問題について同氏は、結果的に非常に些末的な事柄に始終することになるため、Linux Kernelメーリングリストで取り上げることは避けるよう提案した。

 クローハートマン氏は、Linuxディストリビューションにクローズソースモジュールが組み込まれた場合、それがどのような問題を引き起こして進歩を阻害するかを説明し、そうしたディストリビューションに用いられたカーネルの進化に足かせがかけられる点に言及した。つまり、クローズソースのLinuxカーネルに未来はないのだと。

 知的所有権を有する企業がそうした権利を擁護したければ、Linuxを使用すべきではないと同氏は発言した。Linuxを使うのであれば、そのためのルールに従う必要があるからである。Linuxのコミュニティーで自分の知的所有権を主張するということは、ほかの人々よりも自分自身を優先することを宣言することに他ならないと、同氏は語る。つまり、クローズソースLinuxカーネルは倫理的にもとるのだと。

 同氏が企業に対して提案したのは、カーネルヘッダに目を通し、Linuxの構成要素の権利をそれぞれ誰が所有しているかを確認することである。そうすれば、その中にはAMD、Intel、IBMなどの名前も見つかるはずである。つまり、これら企業のお抱え弁護士の目から逃れる自信があるのかと。

 なおNovellは2006年2月9日、今後はGPL以外のカーネルモジュールを新規に採用しない旨の方針を公式に発表している。同氏は、そうした行為を避けるに当たっての本質的な法的理由への言及がなされていない点について触れ、そのような宣言は考えられる限り最も適切なものであると語った。

 ここで聴衆の1人が、Nvidiaはどうなのかと叫んだ。Nvidia、ATI、VMWareはどれもGPLに違反しているではないかと。これらの企業は、巧妙な手口で回避をしている。これらはカーネルソースに対する独自コードを構築しているが、GPLの抵触部に関しては、リンクをさせないようにしているのだ。エンドユーザーに対しても、ビルドしたものの再配布を禁止して、同様の措置を執っている。つまり同氏によると、VMWareはオープンソースではないということになる。

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