次に同氏が行ったのは、コード開発のスキルのない人間は何が貢献できるのだろうか、という質問の提起だ。
Linuxカーネルについて包括的な回帰試験を施すのは不可能であると、同氏は語る。特定の順番でこちらのデバイスを追加してあちらのデバイスを削除した場合に実際に何が起こるかを具体的に検証することはできないということである。このような検証は実際的ではない。求めうる最善のテストは「実際に誰かが自分でやってみることだ」と同氏は説明している。つまり、リーナス氏によるnightly snapshotのテストに協力しようということだ。
何か問題を見つけたらbugzilla.kernel.orgに連絡すればよい。そうすることでバグの存在を気づかせることになり、存在に気づかれたバグこそが修正されることになるのだ。
また同氏は、-mmカーネルツリーをテストすることを奨励した。
最後のまとめとして同氏は、Linuxこそが最も多くのデバイス数をサポートしている点に触れた。こうしたLinuxを発展させてきたのは、そのデザインにあるのではなく、進化し続ける力にあるのだと。そしてクローズソースによるドライバは非合法な存在である。つまり、Linuxであればこそ評価と検証という手法を利用できるのだと。
最後に同氏は、最大の重要事項として、規定の方針に従った全国制覇が進行中である点に言及した。
そして次に同氏は、質疑応答に移った。
最初の質問は、デバイスのサポート数だけでなくデバイスをサポートするタイミングも重要ではないか、というものであった。
これに対する同氏の回答は、時宜を得てドライバを用意するには、ハードウェアベンダーの協力が肝要であるとのことであった。
次にマイクロフォンに語りかけた人間は、カーネルの仕組みを学習するためには、デザインドキュメントを用意するべきだとの意見を展開した。
これを受けたクローハートマン氏の回答は、最新の状況をデザインドキュメントに反映させ続けるには、ソースコードに直接当たる以外に方法はない、というものであった。実際にOSDLは現在、ドキュメンテーション用に専属の人員を用意するための準備を進めているとのことである。その際に同氏が提案したのは、OSDLの参加企業で働いている人間がいれば、こうした作業への資金提供に協力するよう会社側に働きかけることである。
そして登場したのが、アラン・コックス氏である。同氏はマイクに向かって、メディアは好んでMicrosoftをボーグ集合体になぞらえているが、それは現実を反映しているのか、むしろLinuxの方がボーグ集合体なのではないか、という質問を発した。
クローハートマン氏の回答は、Microsoftは自らが背負った重荷で行き詰まっているとのことだ。そしてサイズ的に見た場合のボーグ集合体はMicrosoftであるが、機能から見た場合はLinuxの方が該当するだろうと。だが同氏の意見によると、これは先方と当方が競うべき問題ではないという。そうした点に関する競争は気にかけていないとのことだ。
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