Ottawa Linux Symposium4日目:クローハートマン氏による基調講演Linuxの最新動向が一目で分かる(1/6 ページ)

最終日に相当する開催4日目を向かえたOttawa Linux Symposiumの最終日は、グレッグ・クローハートマン氏がLinuxカーネルをめぐる神話とウソとホントと題してさまざまなトピックを扱った。

» 2006年07月31日 10時00分 公開
[David-'cdlu'-Graham,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 最終日に相当する開催4日目を向かえた2006 Ottawa Linux Symposiumは、例年どおりに閉幕時の基調講演が行われ、昨年の演者を務めたデイブ・ジョーンズ氏による進行の下、今年度の演者であるグレッグ・クローハートマン氏とあわせて来年度の予定演者が紹介された。

 デイブ・ジョーンズ氏から紹介されたのは、NovellのSUSE Laboratoriesに所属するグレッグ・クローハートマン氏であり、その際の説明によると、同氏はカーネル貢献度の量においてかなりの上位を占めているということである。クローハートマン氏が担当しているのはudevに関する作業であるが、この点については先送りするとして、同氏はファイルシステムからdevfsを削除する件に関して2年間の闘争を繰り広げてきたという点にジョーンズ氏は触れていた(その際には拍手喝采が起こった)。ジョーンズ氏はクローハートマン氏を親しみやすさと社交性を併せ持つ人物であると紹介し、同氏によるカーネル関連のコミュニケーション手腕は最高のものであったと称えた。なお、この紹介時に添えられていたのはクローハートマン氏がテーブルに座っている写真であり、その中で同氏は中指を突き立てるという、ある意味非常に外向的な姿勢をとっていた……。

 当のクローハートマン氏は基調講演を始めるに当たり、自分の娘もきっとこの写真を気に入ってくれるだろうとコメントしていた。

Linuxカーネルをめぐる神話とウソとホント

 クローハートマン氏による基調講演のタイトルは「Myths, Lies, and Truths about the Linux Kernel」(Linuxカーネルをめぐる神話とウソとホント)というものである。

 基調講演の冒頭で紹介されたのは、「わたしにとっての最大の問題は、プラグアンドプレイがWindowsレベルに達していないことですね」という引用であった。同氏によると、これはLinuxをよく知らない人間の発言に間違いない、ということになる。こうしたものは、システムの発展状況に疎い人間から発せられた言葉なのだと。次に同氏がスライドを切り替えると、この発言の主が明らかにされた。この発言者は、NovellのCTOを務めるジェフ・ジャフィー氏であったのだ。となると、クローハートマン氏の説明にもあったように、幾らなんでも、これはかなり以前の発言なのだろうと思うのが普通だろう。ところが次のスライドに切り替わって判明したのは、ジャフィー氏によるこの発言は、2006年4月3日になされたものなのである。

 この種の誤解に対してクローハートマン氏が繰り広げた反論は、Linuxによる既存デバイスのサポート度は、ほかのいかなるオペレーティングシステムよりも高いというものであった。またLinuxはほかに先がけて新機軸を取り入れており、例えばUSB2およびbluetoothを最初に採用したオペレーティングシステムは、ほかならぬLinuxなのだと。

 同氏は、Linuxの対応するハードウェアプラットフォームは、ほかのオペレーティングシステムより豊富である点にも触れている。その際に聴衆の1人が「じゃあ、NetBSDはどうなんです!」と叫んだが、クローハートマン氏は、NetBSDについては3年も前にLinuxが追い抜いていると反駁した。

 同氏によると、携帯電話や無線コントロール式航空機を始め、スーパーコンピュータの73%がLinuxを使用しているとのことである。つまりこれはLinuxのスケーリングの高さを示しているのだと。

 ジャフィー氏は自社製品くらいは自分で試してみるべきだと、同氏は語る。つまり、Linuxの開発陣は非常にいい仕事をしているのだと。

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