Ottawa Linux Symposium4日目:クローハートマン氏による基調講演Linuxの最新動向が一目で分かる(4/6 ページ)

» 2006年07月31日 10時00分 公開
[David-'cdlu'-Graham,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 次に同氏が取り上げた神話は、メインのカーネルツリーにコードを組み込むのは困難であるという誤解であった。

 これに対する同氏の説明は、個々のリリースごとに6000点もの変更があるとすれば、誰かがそうした行為を行っているはずだというものだ。つまり必要なのは、カーネルツリーのDocumentation/HOWTOファイルに目を通して、そこに書かれている意味を理解することなのだと。

 カーネル開発に参加する窓口にはさまざまなものが存在すると、同氏は説明する。第1の手法は最もお手軽な方法でもあり、それはKernel Newbiesプロジェクトにコンタクトすることだ。より具体的にはkernelnewbies.orgにアクセスしてWebページかwikiを参照すればよい。第2の手法は、Kernel Newbiesメーリングリストに参加することである。同氏は、このメーリングリストの場合、馬鹿げた質問をすることは事実上不可能だろうと語っている。質問の重複を回避するには、アーカイブを参照して過去に提出された質問を確認すればよい。第3の手法にして最後の方法は、Kernel Newbies IRCチャンネルを利用することだ。このチャンネルには現在約300名のユーザーが存在しており、通常は地道な活動が展開されているが、たいていの質問については誰かが返答してくれるという。

 同氏が一言注意しているのは、支援を求める際には必ず自分のコードを公開する準備をしておくべき点である。逆に言えば、クローズソースのコードに携わっている限り、他からの援助は受けにくいということだ。

 Kernel Newbiesからのステップアップを図るのであれば、Kernel Janitorsプロジェクトに参加することになる。ここで得られるのは、実施待ち状態にある作業のリストだ。そしてこのリストの中から、各自が貢献できる項目を探せばよい。自分のカーネルパッチが採用されるのは至福の瞬間だと同氏は語る。この窓口は、多くの人間にとっての入り口になっている。

 その次のステップアップは、1日400から500のメッセージが交換されているLinux Kernel Mailing Listに参加することである。フィルタリングは誰もが行っていることなので、すべてのメッセージを読むことができなくても引け目を感じる必要はない、と同氏は語る。すべてのメッセージに目を通しているのは、この世でただ1人アンドリュー・モートン氏くらいのものだということだ。同氏は、実際に購読して質問を発することを奨励している。

 なお同氏によると、寄せられてくるコードの評価に携わっている人員は、実のところ数が限られているとのことである。ただし、コードの評価結果に関するフィードバックが返信された場合、その内容に間違いはないはずであると。また同氏は、これらの人々は本質的に善良だが、ろくでもないコードを送りつけてくる人間の方がよくないのだとも警告している。実際クローハートマン氏自身も、1週間ほどそうした作業に携わったことがあるという。その作業は神経を逆なでするのに十分であったとのことだ。

 開発に貢献する意思がある人間は、1週間に数時間でいいから、既存のコードに目を通すこともすべきだと同氏は提案した。つまり、作曲をするなら事前に譜面の読み方も学習する必要があるのと同じなのだと。

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