Dynamicsの2つの“波”、いいとこ取りの統合へ(2/3 ページ)

» 2006年08月09日 07時00分 公開
[Chris Alliegro,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

Wave Twoでさらに強化されるUIと開発機能

 Wave Twoでは新製品が登場するとともに、いくつかの設計ガイドラインに沿って既存ERP製品がアップグレードされる。これらのガイドラインは、Wave Oneで投入された製品に適用されている同様の一連のガイドラインを拡張したものだ。Wave Oneの場合と同様に、Wave Twoで投入される既存の各ERP製品の新リリースでも、多くのアプリケーション機能が強化される。

 Microsoftは、各ERP製品の具体的な機能にWave Twoのガイドラインがどのように反映されるかを明らかにしていないが、一般的な方向性は次のようなものだ。

UIの一層の改良

 Dynamics ERP製品では、共通の役割ベースのUIが採用される。このUIは、ユーザーに職務(例えば、営業マネジャーなど)に応じたデータ、プロセス、画面を提供し、Office 2007と似たものになる。例えば、Office 2007のリボンに似たナビゲーション“リボン”が、操作状況に応じたメニューオプションを提供する。これにより、関連するコマンドやメニューオプションが見つけやすくなる。

 また、Wave Twoのクライアントアプリケーションは、Microsoftの戦略的なUIプラットフォームを基盤として開発される。例えば、NAV 5.0(2007年出荷予定)とAX 5.0(2008年出荷予定)のシッククライアントUIは、.NET Frameworkで提供されるフォームベースのクライアントアプリケーション作成用のグラフィカルライブラリであるWindowsフォームをベースにしたものになる。これは大きな変更点だ。

 Dynamicsの最近のリリースは、デザインと一部のビルディングブロック(コントロールなど)が共通だが、各製品はそれぞれ異なるクライアントとともに出荷されており、フォームのレンダリングなど、他の主要なUIの動作を製品ごとに固有の方法で実装している。

標準プログラミングインタフェース

 Wave Twoで提供される新リリースは、人とマシンの両方を含む複雑なビジネスプロセスをモデル化したカスタムDynamicsアプリケーションをより容易に作成できるように支援する。これはMicrosoftにとって、同社が言うところの「ワークフロー/プロセス中心設計」を推進する取り組みの一環だ。

 具体的には、Wave Twoの新リリースにより、Wave Oneで導入されたWebサービスプログラミングインタフェースのサブセットが完成する。これにより、.NET Frameworkと.NET対応プログラミング言語など、最近の(あるいは間もなくリリースされる)技術を使ってDynamics製品を拡張することがより容易になる。

 例えば、Microsoftはこれまでに、Windows SharePoint ServicesとWindows Workflow Foundationをベースにしたセルフサービスアプリケーションのデモを行っている。Windows Workflow Foundationは、Windows Vista(2006年末出荷予定)と“Longhorn”Server(2007年出荷予定)に組み込まれるワークフロープラットフォームだ。このセルフサービスアプリケーションは、請求の支払いを社内の一連の関係者が所定の手続きに従って処理することができ、そのプロセスがAXで追跡されるというものだ。

 こうしたアプリケーションの作成では、開発者はAXのプロプライエタリな開発言語やツールを使わなくても、Workflow Foundationを利用して、人の作業(レビューや承認など)とAX Webサービスを連携させてデータ(請求書などの書類)の読み出しと更新を行う機能を実現できるだろう。

開発の簡易化

 Wave Twoでは、Microsoftが言うところの「モデル駆動型開発」をサポートする機能も提供される。同社はこの言葉の厳密な意味を明確に説明していないが、いくつかの方向性が現れてきそうだ。

 例えば、Dynamicsアプリケーション用の一連のVisual Studioツール(グラフィカルデザイナやテンプレートなど)により、上記のワークフロープロセスのようなカスタム拡張の開発が、より容易になる可能性がある。

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