GCCとLSBの最新動向LinuxWorld第3日

LinuxWorldの3日目は、GCCに関するものと、LSBをテーマとする講演を聴いた。Red HatもLinuxWorld不参加の理由を話してくれたので、もう思い残すことはない。

» 2006年08月22日 08時00分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]

 LinuxWorld Conference & Expoの3日め。この日もさまざまな展示や講演が行われた。その中からGCCとLSBをテーマとする講演2本と、参加者の声をリポートする。

 この日は、2つの講演を聴いた。GNU Compiler Collection(GCC)に関するものと、デスクトップの開発とLinux Standard Base(LSB)をテーマとするものだ。

 「Recent Developments in GCC」と題してジャニス・ジョンソン氏が語ったのは、GCCプロジェクトの概要と最近の変更点――「最近」といっても、ここ数年という意味だが――について。ジョンソン氏はGCCテストスイートの維持管理を担当しており、IBMのLinuxテクノロジー・センターに所属する。

 筆者のGCC体験は、もっぱら、ソフトウェアをソースからビルドする際に流れていくコンパイラメッセージを眺めること。つまり、利用者として若干の興味を引かれ、この講演を聴いたのだ。ジョンソン氏は、プロジェクトとしてのGCC、コンパイラとしてのGCC、新規にサポートする機能を選定する際の手順、サポートしているプラットフォームについて説明した。

 しかし、タイトルから期待していた最近の開発状況や追加される機能についての話は少なかった。ジョンソン氏は次期リリースでOpenMPがサポートされるだろうと言い、GCCが生成するコードの最適化に新しい方法が追加され既存の方法も強化されることに触れ、長期目標の1つはリンク時の最適化でメモリ使用を改善することだと述べた。

 この後、「LSB Desktop: Benefitting Application Developers Now」と題する講演を聴いた。インテルのソフトウェアアーキテクトでLSB Desktop Leadのラジェシュ・バンジンウォー氏とRealNetworksのドンヤ・シルザッド氏が登壇した。バンジンウォー氏が主に話し、シルザッド氏は、短く、Linux向けRealPlayerクライアントの配布におけるLSBの重要性について語った。

 バンジンウォー氏の話はISVがLinux向けアプリケーションを配布するときに直面する問題に関するもので、ディストリビューションが異なるとライブラリ、パッケージ管理、ディレクトリ構造などが異なる点を指摘した。また、LSB 3.1 Desktop標準、認定手続き、LSBツールを使ってアプリケーションを検証する方法についても語った。

 シルザッド氏は、5分間ほどで、RealNetworksがLinuxやそのほかのプラットフォーム向け製品を開発する際に遭遇した問題について説明した。アプリケーション開発者の立場からすると、Windowsのバージョンは「かなり」標準化されている。Mac OS Xでも、開発者の頭痛の種は少ない。しかし、Linuxの場合は、多くのディストリビューションがあるというのだ。

 しかし良い点もある。Linuxが多様なデバイスで動作する点は魅力で、デスクトップ、電話機、ホーム・エンターテインメント・デバイスで使われているため、自社製品をLinux上で動作させたいのだという。

 この講演は興味深いものだったが、RealNetworksなどのベンダーからLinux向け開発の裏話をもっと聞きたかった。

Red Hatの反応

 前回のリポートで、Red Hatが今年出展しなかったことにショーの見学者が驚いていたと報告した。Red Hatは原稿の締め切りまでに反応を示さなかったのだが、昨日の午後になって、不参加の理由を次のように説明した。

 「当社は古くからオープンソースコミュニティーと活発に協力しており、それを高く評価しています。しかしながら、企業としては、LinuxWorldよりもさらに直接的なコミュニケーションと協力の形――セミナー、Red Hat Summitなど、テーマを絞ったイベント――の方が顧客やLinuxコミュニティーとの関係を維持し、発展させていく役に立つと判断したのです」(Red Hatエンタープライズ・ソリューション担当シニア・バイスプレジデント、ティム・イートン氏)

展示会場にて

 この日は、展示会場をちょっと歩いてみた。展示を眺め、関連グッズのレベルを見分したのだ。

 たぶん、探し方が足りなかっただけだろうが、これまで見たところでは関連グッズのレベルはかなり低い。次回LinuxWorldまで使えるほどのペンは集まったが、Tシャツは1週間分も集まらなかった。

 これまでに話を聞いた限りでは、参加者は展示会を楽しんでいるようだ。しかし、人の入りはまちまちで、多くの人が来たというブースもあれば、昨年程度というブースもあった。内容ではなく、場所によるものだろう。

 多くの.orgブース、とりわけUbuntuブースは賑わっていたようだが、時折数名が寄る程度のところも少数あった。

 LinuxWorldは今日閉幕する。展示会場は午後3時まで。セッションも同じだ。

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