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» 2006年08月25日 06時00分 公開

LinuxWorldの最終日と総括

サンフランシスコで開催されたLinuxWorld Conference & Expo。最終日はカーネル開発者のグレッグ・クローハートマン氏らによる幾つかの講演と展示が行われた。「リーナス氏がバスに轢かれたらどうなるか」といった質問も飛び出すなどした。

[Joe-'Zonker'-Brockmeier-and-Robin-'Roblimo'-Miller,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 今年もサンフランシスコでLinuxWorld Conference & Expo(LWCE)が開催され、市内のモスコーンセンターには1万人を超える参加者と175の出展団体が集まった。最終日17日のスケジュールは前日までよりも短く、カーネル開発者グレッグ・クローハートマン氏らによる幾つかの講演と展示が行われた。前日のリポートよりビデオ映像を増やして最終リポートをお届けしよう。

ITmedia編集部注:こちらの記事ではビデオ映像を見ることはできません。ビデオ映像をご覧になりたい方は、Open Tech Pressのサイトでご覧になれます。

 今年、モスコーンセンターのフロアを歩いた方は、例年よりイベントの規模が大きくなったという印象を受けたかもしれない。確かに今回のLinuxWorldはいつもとは別の建物で行われたが、実際にはそのフロア面積は昨年の会場より狭くなっている。IDGの副社長メリンダ・ケンダール氏によると、参加者数に伸びが見られないので今年はLinuxコミュニティーがRed Hatへの参加要請さえ行わずに独自に開催したのだという。

 閉幕後の今でも、今回のLinuxWorldで最大のニュースはRed Hatが不参加に終わったことだったようだ。最終日もやはり、たくさんの人々がこの話題を口にし、Red Hatが姿を見せなかったことに若干の苛立ちを感じている参加者も多数いた。

Linuxのトラブルシューティング

 木曜の午前中には、Splunkの製品マネジメント担当副社長クリスティーナ・ノレン氏が「Linuxおよびオープンソースソフトウェアのトラブルシューティング」という発表を行った。当初はSplunkの「最高責任Splunker」マイケル・バウム氏が演壇に立つ予定だったが、彼の都合がつかなくなったため、ノレン氏が代理を務める形となった。

 この発表では(優秀な管理者が必ず利用する)豊富なログ出力機能によるオープンソースソフトウェアの問題解決について有益な情報や助言が提供されたが、Open Source Labのコリー・シールズ氏によるSplunkの宣伝やデモなど売り込みの要素も強かった。

 ノレン氏は出席者に対して次のような素晴らしい助言を行っていた。まずは問題が発生する前に、必要なログを確実に残すようにすることで事前に問題解決に備えておくこと。また、ログ出力は容易に参照できるように集中化し、ユーザーが自分で問題を調査できるようにユーザーによるログへのアクセスはできるだけ許すこと。さらに、測定値の基準を得るために失敗時だけでなく成功時のログ記録も取っておくこと、というものだった。内容がSplunkに偏り過ぎることなく、また、問題を発見した後に実際に解決するための助言もあれば、もっと素晴らしい発表になっていただろう。

Quiltを使ったカーネルのバージョン管理

 最後のセッションでは、Quilt、Ketchup、Gitを使ったカーネルのバージョン管理について、クローハートマン氏が発表を行った。内容としては、QuiltとGitはほかのプロジェクトにとっても実に便利なツールであり、Ketchupもまた管理者の役に立つというものだった。そのため、この発表はカーネル開発者でないわれわれにとって価値のあるものだった。

 Ketchupは、tarballやパッチを手作業でいじることなく、Kernel.orgのミラーシステムから直接、カーネルのソースツリーを取得するためのツールであり、しかもそのすべてをどのようにしてか自動で行う。このツールは、カーネルのコードを書いてテストする開発者だけでなく、自らカーネルを構築する管理者にとっても非常に役に立つ。

 続いてクローハートマン氏は、パッチ同士の差分を取り、そうしたパッチをほかのカーネル開発者に電子メールで送付するQuiltのデモを行った。Quiltはカーネル開発のために作成されたものだが、ほかのプロジェクトにも非常に適していると彼は述べている。

 Quiltの後にクローハートマン氏は話題をGitに移し、「世の中でも最もお買い得なツールの1つ」と述べた。彼によると、Gitは処理速度の点で「これまでで最高の」分散バージョン管理システムだという。クローハートマン氏はカーネル開発者が自分たちのツリーを管理するためにどのようにGitを使っているかを説明し、何か問題が起こったときにパッチの送付や承認を誰がしたのかを知ることができる、ソースコードの変更箇所やパッチの適用履歴を示すGit用のGUIツールの1つを紹介した。Gitもまたカーネルだけでなく各種プロジェクトにとっても有益であり、どんな開発プロジェクトでも利用できる。

 厄介な「カンファレンス最後のセッション」はこうしてクローハートマン氏の講演で埋められたが、えてして最終セッションというのは相当な数の参加者がすでに帰路についているか、友人や同僚と一杯ひっかけている最中に行われるものだ。クローハートマン氏の発表を聞きに姿を見せていたのは20名ほどだったのだが、彼の話が終わってからは主にカーネル開発について活気あふれる質疑応答が行われた。

 ある出席者がReiser 4の状況について尋ねると、Reiser関係者はパッチを誰に送付すべきかやコーディングスタイルなど、パッチの送付についての「ドキュメントやマニュアルを読んでいない」とクローハートマン氏は語った。政治的な駆け引きやExt4への偏重に対する非難など物議をかもす話題だったが、クローハートマン氏は、Reiserの開発者は新しいコードをカーネルに適用するための従来のルールに従っていなかっただけだ、と述べた。Reiserの開発者は今ではこうした手続きに従おうとしており、おそらく近いうちにReiser 4はLinuxカーネルに採り入れられるだろう、とも彼は話していた。

 またこのセッションでも例の「リーナス氏がバスに轢かれたらどうなるか」という質問が出た。具体的に後継者の名前は挙がっていないが、例えリーナス氏が関与しなくなっても、カーネル開発が継続可能なほどに開発体制は十分に健全だとクローハートマン氏は答えていた。

 全体として、今回のLinuxWorldは少し盛り上がりには欠けたものの、まずまずの内容だった。今年の発表の質は若干落ちたように感じたが、木曜日のクローハートマン氏による発表は明らかにその例外だった。次のLinuxWorldは2007年2月14、15日にニューヨークで予定されている。

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