Vistaへの移行でMicrosoftがAppleから学ぶべきこと(2/2 ページ)

» 2006年09月04日 11時47分 公開
[David Morgenstern,eWEEK]
eWEEK
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 Cheetah発売の数カ月後、わたしは、勇気あるユーザーに出会えることを期待して、サンフランシスコで開かれたMacユーザーのグループミーティングに参加した。しかし50人の参加者のうち、Cheetahを常時使用していると答えたのはわずか数名であった。

 2001年秋、AppleはメンテナンスアップグレードであるPuma(v10.1)をリリースした。Pumaの十分な安定性が証明され、AppleがMac OS Xをデフォルトブートとして出荷したのは2002年1月のことだ。

 この時になっても、Appleのより高速な新モデルには、Mac OS 9がプライマリーOSとしてプリインストールされていた。ユーザーには選択肢があった――慣れ親しんだルックアンドフィールのMac OS 9プログラムを使い続けるか、メモリと安定性は強化されたがアプリケーションのアップデートバージョンが必要な馴染みのないインタフェースに移行するか。

 デベロッパーはまた、新しい環境によって出来たすき間を埋めるための、まったく新しいアプリケーションを提供した。

 Appleはこれと並行して、Cheetahの初版リリースから、Classicと呼ばれるMac OS 9アプリケーションを動作可能なエミュレーション環境を顧客に提供した。

 したがってMac OS Xユーザーは、メモリ保護やそのほかのメリットがなくても、使い慣れたアプリケーションをそのまま使えることが約束された。

 2002年春のWorldwide Developers Conferenceで、AppleはMac OS 9.xのサポートの打ち切りが迫っていることをソフトウェアパートナーに警告した。スティーブ・ジョブズ氏の基調講演はMac OS 9への悼辞で始まった。同OSは「われわれすべての友人だった」。バッハのトッカータとフーガ 二短調が流れる中、ステージから棺がせり上がった。

 「皆さんの顧客の間で(Mac OS 9は)まだ死んでいないが、皆さんにとっての(Mac OS 9)はもはや終わったのだ」とジョブズ氏は聴衆に語った。

 同氏はデベロッパーらに、約5カ月後にリリースされることになるMac OS X Jaguar(v10.2)の機能を説明した。バグが徹底的に取り除かれ、これまで落とされてきたMac OS 9の機能の大半がよみがえったバージョンだった。

 2003年以降に投入されたMacモデルから、Mac OS X Jaguarのみがデフォルトブート(そして望めばLinuxも可能だったが、これはまた別の話だ)となり、Mac OS 9は起動できなくなった。もちろん、旧世代のMac OS 9アプリケーションは、Classic環境下で動作した。

 (Appleは歴代MacモデルでMac OSのどのバージョンを起動できるかという興味深いリストを提供している。ただし、Appleには該当するシリーズあるいはモデルを明示せずにハードウェア構成の重要な変更を行うという不可解な習慣があるため、このリストは初心者には若干難しいかもしれない。)

 Vistaの状況とは異なり、Macユーザーには、新しいOSを無視したければ無視できる期間が1年半以上も与えられた。顧客は自分たちのスケジュールに合わせてMac OS Xについて考えを固め、なおかつハードウェアをアップグレードしながら現行のワークフローは維持できるという保護策もあった。

 実際、Classic環境のサポートが打ち切られたのはIntelベースMacがリリースされてからだった。

 わたしが理解する限り、MicrosoftはVista投入において(Appleとは)反対のメッセージを送っているように思える――「皆さんはWindows Vista体験をありがたく感じるだろう。以上!」

 それから、Macの価格の高さを指摘する人々に、ぜひ見て欲しいものがある。報じられているVista所有者が「追加」購入する場合の割引についてだ。アップグレードあるいは新たにVistaを購入した場合、追加ライセンス1件につき10ドル〜40ドル安くなる。

 これに対し、Appleが提供する「ファミリー」5パックライセンスは、1シート当たり40ドルだ。これこそ本当の「お買い得」と言えるだろう。

さて、Microsoftは来年のVista発売に向けて、Appleの戦略を参考にすべきではないだろうか?

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