企業向け機能が強化され、着実な進歩を見せたMSのコミュニケーション製品群(3/3 ページ)

» 2006年10月26日 07時00分 公開
[Rob Horwitz,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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自社導入(オンプレミス)バージョンも提供されるLive Meeting 2007

 Live Meetingは、通常はほかの電話会議サービスと連携して、オンライン会議やオンラインイベントをホストするサブスクリプションサービスである(Live Meetingの正式名はMicrosoft Office Live Meeting。2003年にMicrosoftがこの技術を買収する前の名称はPlaceWare)。

 Live Meetingイベントは通常、スライドやホワイトボードを使用したプレゼンテーションと出席者に送られる一方向の音声ストリームからなる。通常会議はあらかじめスケジュールされ、特定の議題があり、発表者によって進行される。例えば、多数の出席者がいる場合、発表者は発言するユーザーや発言のタイミングを厳格にコントロールするだろう。

 Live Meetingの提供形態には、Microsoftによる直接販売、ボリュームライセンスによる提供、BT、Intercall、Verizon/MCIなどの音声会議プロバイダによる再販がある。会議へのアクセスには、Windowsベースの会議コンソール(会議前にインストールが必要)またはWebベースのブラウザコンソールを使用する。

 Live Meeting 2007(この名称は変更される可能性がある)の会議機能は、引き続きMicrosoftのホスティングサービスとして提供されるほか、提供が予定されているCommunications Server 2007にも組み込まれる予定だ。つまり、Communications Server 2007を導入している企業では、Microsoftによる社外サービスを利用しなくても、自社内でLive Meeting会議をホストできる(Communications Serverの詳細については、前述した「Communications Server」の項目を参照)。

Live Meeting 2007の新機能

 Live Meeting 2007の機能強化は以下のとおりである。

  • 双方向の音声ストリーミング

 現在のLive Meetingサービスでは、発表者の音声をインターネットを介してストリーミングできるが、出席者のPCにマイクが取り付けられていても会議中に出席者が発表者やほかの出席者と会話することはできない。別途電話回線を使って電話をかけるか、テキストチャット機能を使用する必要がある。Live Meeting 2007では、マイク付きのPCを使用している出席者は、VoIPを使用して発表者やほかの出席者と会話できるようになる。複数が同時に発言していても発言中のすべての音声がストリーミングされるが、発表者はどの出席者のマイクをアクティブにするかを制御できる。例えば、少人数の会議では参加者全員のマイクをアクティブにし、大規模な会議では、Live Meetingクライアントの“問い合わせ※”アイコンをクリックした出席者のうちの1人を除いて、全出席者のマイクの音声をオフにできる。Live Meeting 2007のホスティングサービス版では提供されていて、自社内導入版(Communications Server搭載バージョン)では提供されていない機能が1つあり、それはマイクなしPCを使用している出席者との双方向音声通信のサポートである。この場合は、サードパーティの音声会議プロバイダを利用することで、通信が可能だ。

  • 発表者のビデオ画像配信

 現在のLive Meetingサービスとは異なり、Live Meeting 2007では出席者に発表者のリアルタイムのWebカム映像を配信できるようになる。複数の発表者が同じ場所から会議に参加している場合、提供が予定されているMicrosoftのRoundTableビデオカメラが1台あればよい。このカメラの周囲360度の映像が各出席者のLive Meetingクライアントのウィンドウの1つに表示され、アクティブな(発言中の)発表者のクローズアップ画像が別のウィンドウに表示される。

  • プレゼンテーション内の音声およびビデオコンテンツのサポートの強化

 現在のLive Meetingサービスでは、Windows Media形式のビデオクリップやFlashアニメーションのプレゼンテーションでの使用は実用的ではない。出席者は音声を聞くことができないし、ビデオも非常にむらのある画像になる可能性が高い。これは、このようなコンテンツがアプリケーション共有により参加者に提示されるためである。アプリケーション共有は、音声サポートがなく、ビデオまたはアニメーションシーケンスの素早い切り替えに対応できるよう最適化されていないプロトコルを使用しているのだ。Live Meeting 2007では、Windows MediaまたはFlashコンテンツをサーバにアップロードし、サーバからこのコンテンツをLive Meetingクライアントソフトウェアに送られる。その後クライアント上で、元のコンテンツと遜色ない品質で音声や画像が再生される。この機能強化によって、より質の高いリアルタイム会議を実現できるだけでなく、Live Meetingを使用して会議を記録する場合に記録データの品質も向上させることができる。

  • 仮想小会議室機能の導入

 Live Meeting 2007のホスティングサービス版では(自社内導入型は不可)、出席者が全員参加する大会議室と、一部の出席者が参加する複数の小会議室間での出入りが可能になる。例えば、あるLive Meetingセッションでは20名の出席者がいて、最初の1時間は出席者全員による会議を行い、次の1時間は5人ずつ4つのグループに分かれて話し合いを行い、最後にまた全員が参加して1時間会議を行うということが可能だ。この仮想小会議室機能を使わずにこのような一連の会議を行おうとした場合は、6つの独立した会議セッションを管理することになり、多大なオーバーヘッドが発生する。

Live Meeting 2007のリリース予定

 Live Meeting 2007は、2006年後半にβテストが開始され、2007年の第2四半期に正式リリースとなる見込みだ。

 また、Live Meeting機能が組み込まれたCommunications Server 2007も、今年の後半にβテストが、2007年の第2四半期に正式リリースが予定されている。

Microsoftの統合コミュニケーション導入時の検討事項

 2007年にリリースされるMicrosoftの統合コミュニケーション製品群の利用を検討している組織は、以下の点を考慮する必要がある。

  • PBX統合の必要性

 Exchange Server 2007の統合メッセージング機能は、組織の既存のPBXシステムとの統合に完全に依存している。また、PBX統合を行わない場合は、Communications Serverも独立したシステムとなり、Communicatorクライアントを利用するユーザーはほかのCommunicatorユーザーとしかIM通信や、音声またはVoIP通話を行えなくなる。既存のPBXをExchange Server 2007およびCommunications Server 2007ベースのシステムに統合する場合は、ほとんどの場合、各組織が利用しているPBXの特定のブランドとモデルにあった専用のゲートウェイが必要になる(Microsoftでは、現在運用されているPBXのほとんどに対して、対応するゲートウェイが提供されるようになると予想している)。さらに、現在のPBXのプログラムを大幅に書き換える必要もあるだろう。PBX統合は複雑な作業になることが予想されるため、ほとんどの組織では専業のシステムインテグレータによるサービスを受ける必要があると思われる。

  • ライセンス費用

 Exchange Server 2007またはCommunications Server 2007の新機能を利用する場合は、関連するクライアントアクセスライセンス(CAL)の費用が跳ね上がる。Exchange Server 2007の新しい統合メッセージング機能を使用するには、ユーザーごとにExchange 2007 Standard CALのほかに新設されたExchange 2007 Enterprise CALが必要になる。現在ソフトウェアアシュアランスにより既存のExchange Standard CALに対するアップグレード権を確保しているユーザーが、Exchange 2007 Enterprise CALを入手するには、追加料金の支払いが必要だ。Communications Server 2007のライセンス形態についての公式な発表はされていないが、この場合も同様の扱いになりそうだ。つまり、自社導入型Live Meetingサービスによる会議のホストなど、Communications Server 2007の新機能を利用するには、新設のEnterprise CALが必要になる見込みだ。

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