「3K」の汚名を返上、ITエンジニア「35歳限界説」を吹き飛ばせITエンジニアのための新たなキャリアパスモデル提案(1/3 ページ)

ソフトウェア業界の本質的な価値は、「人月」のビジネスとは違う。マイクロソフトとアイ・ティ・イノベーションは、キャリアパスモデルを定義し、日本のITエンジニアの価値を高めたいと考えている。

» 2006年10月30日 07時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 これまでソフトウェア業界は、「1人1カ月幾ら」というビジネスが成り立ってきたが、それがこの業界の本質な価値なのだろうか? 「3K」の汚名を返上し、「35歳限界説」を払拭するためにも、「人月」のビジネスからの脱却は、日本のソフトウェア業界の悲願だ。ITエンジニアや業界の意識改革を促したいと考えるマイクロソフトとアイ・ティ・イノベーションは、キャリアパスモデルを定義し、アセスメントの手法も併せて開発する共同プロジェクトに取り組んでいる。ITmediaの「応援します! 日本ITエンジニア」では、前回に続いて、途中経過ではあるが、同プロジェクトから生まれつつある成果について紹介していきたい。

役割と責任からキャリアパスモデルへ

 前回の「ITプロセスの全体像を描くとエンジニアの人材像が見えてきた」では、ITプロセスの全体像を整理し、それぞれの局面における目的や成果物、各タスクを担う登場人物ごとに「役割」と「責任」も明確にし、ITにかかわる職務の定義も出来た。ITエンジニアのために新たなキャリアパスモデルを提案するプロジェクトの本題はここからだ。

 「ITエンジニアの世界では“35歳限界説”がまかり通っている。しかし、われわれは、きちんとキャリアパスモデルを提案し、ITエンジニアがスキルを身に付け、キャリアを積んでいけば、さらに高い評価と報酬が得られる職業であることを示していきたい」と話すのはマイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部戦略企画本部の成本正史部長。10年働いたITエンジニアが、その後も目標とすべきロールモデルが必要なのだ。

 マイクロソフトのパートナーとして、今回のプロジェクトを進めるアイ・ティ・イノベーションのコンサルティングマネジャー、横尾誠康氏は、役割と責任に基づく職務の定義を基に下の図のようなキャリアパスイメージを策定した。

「キャリアパスイメージ(概要)」ただし、プロジェクトの中間的な成果物であるため、内容は変更される可能性があります

 スタートラインに立ったエンジニアは、仕事や技術に関する知識を学びながら運用スペシャリストや開発スペシャリストを目指す。どの世界でもそうだが、最初からITアーキテクト、というわけにはいかない。仕事を経験するにつれ、やがて専門性が深まり、プロフェッショナルとしての職域が固まってくると、「システムアナリスト」「ITアーキテクト」「プロジェクトマネジャー」という上位の役割を担うようになり、ビジネス上の問題をきちんと把握し、それを解決できるようになっていく。

 下の図は、キャリアパスイメージを情報処理推進機構の「ITスキル標準」(ITSS)や経済産業省の「情報システムユーザースキル標準」(UISS)のレベルとすり合わせたものだ。システムアナリスト、ITアーキテクト、プロジェクトマネジャーという職種は、ITSS/UISSのレベル4に該当し、先ずはリーダーとして顧客に信頼してもらえる存在でなければならない。

「キャリアパスイメージ(詳細)」ただし、プロジェクトの中間的な成果物であるため、内容は変更される可能性があります
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