ITエンジニアに将来のキャリアパスを示しても、それだけでは市場は変わらない。市場を変えていこうとすれば、対価を支払う立場の人たちの考え方を変えなければならないからだ。
例えば、ビジネスの分析が間違っていたら、開発フェーズにどんな優れたエンジニアを投入しても出来上がったシステムは使えないものになってしまう。実際、そういうケースは少なからずあり、ビジネスを分析することの価値はそれだけ高いといえる。
「われわれは、エンジニア個人の価値を高め、ソフトウェア業界の価値を高めていきたいと考えている。そのためには、“1人1カ月幾ら”というビジネスから脱却し、例えば、ビジネス分析の結果、という成果物に対して対価を支払うという契約ベースのビジネスを広めていく必要がある」と成本氏。
横尾氏も、「人月」ビジネスからの脱却は業界上げての悲願だと話す。
「人月では、ソフトウェア業界の本質な価値を反映できない。顧客も価値のあるものにお金を支払うのであって、時間に対してではない。どんなに優秀なエンジニアでも、1時間幾ら、というビジネスしか成立し得ないのであれば、この業界に何の意味があるのか。今回とりまとめたキャリアパスモデルの提案を、業界を変えていくための起爆剤にしたい」と話す。
プロジェクトでは、今後アセスメントの手法も開発、叩き台として提案し、日本の大手コンピュータベンダーらやUMLモデリング推進協議会のような団体と協力して議論を深めていくという。
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