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» 2006年11月22日 08時00分 公開

無線LAN“再構築”プラン:敵は「隣」にあり! 電波の陣取り合戦 (1/3)

無線LAN導入でまず最初にやること、それはサイトサーベイだ。だが、そこには思わぬ「敵」の存在がある。隣接するビルから入ってくる電波を考慮した感度調整の勘どころをつかむには、実機を使うのが最も現実的なようだ。

[寺下義文,ITmedia]

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寺下義文(日立コミュニケーションテクノロジー)



 これまでの説明(関連記事1関連記事2関連記事3)から、読者もVoWLAN(無線VoIP)が厄介なものであることを痛感していることだろう。しかしその一方で、経営トップや顧客から、きわめて短期間のうちにVoWLANを実現するよう指示を受けているシステム管理者やSEの方々は、「困難だからできない」とはいえない状況にある。事実、筆者自身もSEとして活動していたころ、そうした状況は幾度も経験した。

 これから紹介するVoWLAN導入についてのノウハウは、そうした限られた時間しか与えられていない者にとって、現実的かつ明快な解ではないかもしれない。「こんな短期間でそんなことまでできるわけがないだろう」といいたくなる部分もあると思う。また、仮にすべて行ったからといって何の失敗もなくことが進むというものでもないことは、これまでの説明からも容易に想像できるだろう。

 ただ、筆者がSEをしていた当時に顧客から頂いたありがたい言葉を引用させてもらうと、100点取れないから0点(何もしない)でいいということではない。100点がだめなら90点、それがだめでも80点と、少しでも満点に近い答えを出せるよう努力をすべきである。そのような心構えで、以下を読んでいただきたい。

まずは“索敵”から

 導入でまず初めに行うべきことは、軍事用語でいうところの「偵察」ではなく、「索敵」である。なぜこう表現したかは後で分かるのでここでは述べないが、索敵とは敵がいるかどうかも分からない状況で敵を捜し求める行為であり、ここでいう「敵」とは、隣接する場所に密かに設置されているAP(アクセスポイント)のことを指す。

 なぜそのような行為が必要なのか。先の記事でも説明したチャンネル決めによって、自営網内では干渉しないようにしていても、「敵」から送出されている信号(チャンネル)と重なっては、まったく意味がなくなってしまうからだ。特にこの問題は、ビルが密集するオフィス街では珍しいことではない。隣接するビル群はすでに多数のWLANが構築されている環境にあり、そのような中では頼みもしないのに電波が飛び込んできてしまうのだ。こうした電波を「外来波」という。

 したがって、広大な平原のまっただ中にある工場のような場所でもない限り、この索敵は導入工程において欠くことのできない、きわめて重要な作業だといえる。

 では、具体的にはどのような方法で索敵を行うか。その一番確実な方法は、しかるべき無線LANアナライザを用いることではあるが、この索敵を行うことにかぎっていえば、一部のAPにすでに実装されている機能を利用することでも十分に役目を果たしてくれるはずだ。今回は、そうしたAPの1つである「Cisco Aironet 1230」を例にしよう(図1

図1 図1●Carrier Busy Testの結果を示す画面

 図は、Carrier Busy Test機能(最もふくそうの少ないチャンネルを判別する機能)によって取得した、現在の各チャンネルの利用状況を示したものである。当然ながら、いずれのチャンネルも0パーセントを示していることが一番良いわけだが、むしろそうしたケースの方が珍しい。実際にはいずれかが著しく高い数値を示していることに気づく。そして、Startボタンを連打すると、刻一刻と状況が変化することにも気づくだろう。そうした測定を、受信感度を変えつつ数回繰り返して、できるだけ利用率の小さいチャンネルを実際に使用するチャンネルとして選定するのだ。

 また、理想をいえば、このCarrier Busy Testは、平日8:00〜19:00の範囲で月〜金まで、さらに時間が許すなら月頭・月末という1カ月のレンジで、もっと欲をいうと年末年始、年度末でも実施してほしいところだ。不幸にも一番外来波が少ない時間帯をサンプリングしてしまい、実は一番込み合っているチャンネルを選定していた、という結果にもなりかねないからだ。

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