この量子技術は、因数分解以外に何ができるかが注目され、そしてデータ検索や科学計算などに生かせる可能性が見えてきた。
データ検索に関しては、Groverのアルゴリズムというものがある。これは、大量のデータを1度のオーダーで照会し、正しい結果を導き出すため、かなりの速度で検索結果が得られるというものだ。
また科学計算の分野では、量子系のシミュレーションやタンパク質のシミュレーションなどの超高速シミュレーションが実現できるとされている。
先に挙げたBB84プロトコルなどの量子暗号については、すでに数カ国で実現され、安全確実な暗号として軍事機関などで利用が検討されている。
しかし、これほど多くの期待が寄せられ、関連する一部のものは商品化までされながらも、量子コンピュータが実現できそうだという声は依然として聞こえてこない。そこで次回の後編では、量子コンピュータがどのような理論で動くものなのか、あるいはどのような障害があるのか、そしてそもそも実現の可能性はあるのかについて紹介したい。
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