上村氏は「エンタープライズサーチは進化し、希望が持てるソリューションではあるが、情報が混沌(こんとん)とした状態に入れただけでは、夢のような情報共有が実現するものではない」と釘を刺す。同氏は、再利用コンテンツのリポジトリや共有スペースを用意するといったコンテンツ管理戦略に組み合わせて活用すべきものだと考えている(図3)。
みんなで使うスペースを決めておき、そこにエンタープライズサーチを適用することで、アラートやパーソナライズなどのプラスアルファの機能を作り込めば、閉じた範囲でも理想の世界が生まれてくるという。
また、業種特化型のサーチソリューションも、今後求められる1つの可能性だ。例えば、製造業に特化した検索なら、設計図や仕様書などドキュメントの種類がある程度決まっているため、あらかじめ保存するひな形を用意することで、検索精度を高める環境が作りやすい。検索エンジンは100%の精度を保証するものではなく、ファイル命名ルールや分類ルールなどを徹底するからこそ、エンタープライズサーチの機能が最大限生かされる。
「まず、欲しい情報が自社内にあることが前提。その上で、特定のコンテンツや部署別など小規模で始め、ある程度見つけられやすいような環境になったら、さらに高度なエンタープライズサーチを目指すといった、段階的な活用が成功の秘訣」(上村氏)
今後、ベンダーからはユーザーニーズに合わせた業種特化型のエンタープライズサーチ製品が数多く提案されてくるだろうと同氏は予測する。また、企業が自ら導入するケースと別に、アライアンスを組んだOEMソリューションにエンタープライズサーチ機能が組み入れられるなど、いつの間にか使い始めているという状況になることは間違いないとも話す。
今後、エンタープライズサーチの導入を検討している企業に対して上村氏は、「軽い気持ちで導入してはならない。だが、がんばって使いこなせば、企業価値はきっと向上する」と心強いエールを送る。
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