ユーザー企業出身の女性社長が唱える「現場に効く提案」「データ」に着目した保守・運用会社が誕生(2/2 ページ)

» 2007年03月27日 07時00分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]
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お祭り騒ぎの後に始まる試練

 首藤氏はオムロンに30年勤め、主として同社のITインフラの整備に携わってきた。2004年に退社する直前の肩書きは「業務改革本部IT推進統括部参事」。「企業システムの大きな節目を4サイクルぐらいは経験しているかもしれない」と話す。首藤社長はネクステックを設立する前の山田社長のかつての顧客。「手ごわい相手だった」と苦笑する山田氏だが、システムではなくそこに流通するデータこそが、ITによる改革の肝になるという考え方は共通していたという。

 「忙しい設計担当者が製造現場へ修正の赤字を書き込んだ紙の図面を渡すことなどはよくあること。CADのデータは修正前の状態で残されてしまい、その後担当が替わって変更された情報は消えてしまい、間違った仕様の製品が市場に出そうになることもある。今後、製造業にもこうしたリスク管理についてのチェックが厳しく入るようになる」と首藤氏は話す。現場の業務の精度を上げることに腐心してきたという、首藤氏の発言は具体的だ。

 「これまで、コンサルティングが終了し、システムを実装した後は基本的には顧客が運用する形になっていた。しかし、顧客の中から、運用やデータマネジメントについて引き続き関わって欲しいという声が高まってきた。ネクステックウェイブに求められているのはまさにその部分であり、グループとしてソリューションが出揃ったということになる」と山田氏は話す。 それを受けて首藤氏は次のように語った。「新しいシステムを作るときはお祭り騒ぎのようにして、ユーザーも外部のベンダーも必死になって仕事をする。ところが完成後、いざ運用となると予算もがくんと減って、ベンダーやコンサルタントも去っていく。そして残されたユーザーが『どうしてこんな機能があるんだ』『こんな機能があればいいのに』というように、現実と対峙する形になる。営業スタイルはいろいろな形をとることになるが、ネクステックと協業する場合などは、システムのグランドデザイン段階で、下流の保守・運用サイドからの提案をしていければと思う。こんなシステムがあるから、面倒見てくれといわれて仕事をするのではなく、現場に密着し、卓越したデータマネジメントによって顧客の業績が向上していく姿を実現していきたい」

 業務と製品とシステムが最適化されてこそ、変革は実現する。ネクステックウェイブのアプローチは、浮上してきた日本の製造業のウィークポイントを解消する手立てなのかもしれない。

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